『歌壇』2020年3月号
表紙が春。心はずむ。①樋口夏子、林芙美子も書にまなこ埋(う)めて読みけむ婦人の室に 栗木京子 「書にまなこ埋めて」が生々しい。「婦人」という語はこの歌ではレトロっぽい響き。彼女らの書への飢餓感がある意味うらやましい。
②跨ぎたる男はわれの息子でない確認しながら見上げて睨む 米川千嘉子 電車の揺れに転倒した老人を舌打ちして跨いた男。老人を助け起こしながら男を見上げて睨む作者。そうしながらもその男が自分の息子でないことを確認してしまう。親の心の在り方にドキッとする。
③富田睦子「彩を読む⑤」馬場あき子の「イザナミの森」について。〈それまでに詠まれていた…テーマがはっきりとイザナミの物語と重ね合わされ馬場自身の思い、あるいは女性全体の思いへと繋がっていく。〉これに続く部分がとてもいい。結論なのでここに載せないが…。本文でぜひ。
2020.2.25.~28.