岡崎京子『エンド・オブ・ザ・ワールド』(祥伝社)
1994年の短編集。古本屋で購入。久々に岡崎ワールドに浸った。収録作は「エンド・オブ・ザ・ワールド」「Vamps」「ひまわり」「水の中の小さな太陽」「乙女ちゃん」の5編。
一番好きなのは「ひまわり」かな。この展開は類があまり無いかも。
映画「ボニーとクライド」を思わせる「エンド・オブ・ザ・ワールド」、「ポーの一族」を思わせる「Vamps」、サガンの「冷たい水の中の小さな太陽」を連想する「水の中の小さな太陽」。サガンの小説は未読なのであくまでタイトルからの連想だけだが。
どれも岡崎の造型した重い瞼と分厚い唇が印象的な女性が登場する。破滅的なまでにだらしなかったりするが、どの女性も救いようが無いほど傷ついている。バブル期の虚無的な空気感も伝わる。
「ちょっち(ちょっと)」とか「ちょ(ちょうだい)」とか「ピース(こんにちはの代わり)」とかもう使わなくなった話し言葉も。「ジャーン」も使い方が違う。逆に「だせー」「やべー」「やりィ~」「・・・っす」は今でも使う。「ふつう」は多分使われ始めの頃。「元気にしてた?」「うん、ふつう」「受験勉強してる?」「ふつう」みたいに。
そんなことを思いながら何度もページを繰った。
祥伝社 1994.7.(読んだ版は2002年11月第18版)900円(本体857円)