仲よし友だちとの記憶って、細胞がおぼえてくれているかな?
「今日は誰と遊んだの?」
「たいちゃん!」
「お散歩の時は誰と手をつないだの?」
「たいちゃん!」
息子・スポッ太が1歳半くらいの時。
保育園で同じクラスだったたいきくんのことが、大好きだった。
4月生まれで、クラスで一番しっかりしていたたいきくん。
お散歩の時に、犬に吠えられても動じない。
近づいて、なでていた。
臆病者の息子は、すぐにシュシュッと逃げた。
でも興味はあって。
少しずつ近づく時は、たいきくんの、背中から。
1歳とは思えないほど、穏やかで落ち着いていたたいきくん。
スポッ太は、いつもくっついて遊んでいた。
でも残念ながら、1年後、たいきくんは遠方にお引越し。
会えなくなってしまった。
お別れ会で、大泣きしていたスポッ太。
「どうしてなの、どうして・・・」
家に帰ってからも、べーべー涙を流しながら真っ赤な顔で聞いてきた。
「お父さんのお仕事なんだよ」
「たいちゃんもいかなくちゃ、いけないの?」
「スポッ太だってお父さんと離れたら、寂しいでしょ?」
「う、う、でも、たいちゃんと、遊びたい」
私も胸が痛かった。
お友だちのことで、こんなに大泣きしたのは、この時が初めて。
2歳になる前。
やがて、新しいお友だちもできて。
数年後、写真を見ても、もう覚えていなかった。
「たいちゃんだよ。スポッ太、仲よしだったよ」
教えても、首をかしげていた。
さびしいけれど。
記憶になくなっても、彼の中から消えたわけではない。
小さい時に、大好きなお友だちがいたこと。
仲よくしたこと。
どこかに、生きている。
体の、
頭の、
心の、
どこかに。
4、5年後、遊びに来たたいきくん母子と公園で会った。
息子は、はじめはモジモジしていた。
おぼえていないし、どうしよう、という表情で。
ところが、親子で一緒に座って話していたら5分後には。
「あっち行こうよ! すべり台があるよ」
手を引っ張って、椅子から降りて。
一緒に遊んでいた。
人見知りの息子には、珍しいこと。
ブランコ、ジャングルジム、お砂場。
遊具に飽きたら、虫探し、観察。
暗くなるまで、ずっと遊んでいた。
ずうっと前から一緒だったみたいに。
バイバイしたあと。
「ぼくね、おぼえていないけど・・・なんかおぼえている気がする」
ポツリとつぶやいた。
体か心がおぼえていることって、あるんだね。
いつか会えたら、またすぐに話すようになるのかな?
高校生の今でも?
わからないけれど。
どこかに「仲よし細胞」みたいなものが残ってて、
シノプスみたいに、会ったらニョキッて伸びたらいいな。
※イラストはあまのこさんからお借りしました。ありがとうございます。
育児中の肩の力を抜けるような、メルマガを書いています。
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