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自分の居場所と、みんなの居場所を見つけたい

生まれて初めて「ここが私の居場所だ」と感じた。
その人と結婚をした。


いつも「ここではないどこか」へ行きたいと思っていた。
どこにいても、居心地が悪くてお尻がむずむずした。

自分の生まれ育った家庭は、幼いころから両親が不仲だった。思春期の頃から距離ができた。
距離は広がることはあっても、縮まることはなかった。

ひとり暮らしを始めたら、気が楽になった。
でも一人でも「ここなのかな?」と首をかしげていた。

だからよく旅に出ていた。

「ここではないどこか」を、いつも探していた。

旅はとても楽しかったし刺激的だったが、帰ってこなくてはならない。
旅だから。

ある人に「”どこか”なんてないんだよ! ここが君のいる場所なんだよ!」と激しく言われた。
当時つきあっていた人だ。
彼の言うことはもっともだった。

近くにいるようでどこか遠くを見ているのだから、相手は不快だっただろう。

でもうなずけなかった。
私が悪いのかもしれない。でも落ち着かない。

一人になるとほっとした。

これではいけないよね。ため息をついていた。

ある日、ある人と会話が交差した。
たまたま集まりで隣に座った時、話しながら自然に相手の深くに入り込んだ、気がした。
共感した。

次に二人で話したとき、話が止まらなかった。
何度会ってもそうだった。

一緒に暮らすようになった。

会話しているとおもしろく、黙っていると落ち着けた。

その時に初めて感じた。

「ここが私の居場所だ」

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ものすごい安堵感。
バリバリゴリゴリの鎧がゴキゴキと崩れた。

ここにいていいんだなあ、と思えた。
転がり込んできたのは彼のほうだったけど。

一緒に暮らし始めて5か月後に結婚した。

不思議だった。

こういうことってあるんだ。

披露パーティーの招待状に彼が
「この人といると、毎日が特別な日になる。そう思えたので、ずっと一緒にいることにしました」
そう書いてくれて、とてもうれしかった。

毎日が特別な日になった。

それから18年間。

息子が生まれた。
それ以外にいろいろなことがあった(また書く機会があるだろう)。

問題もある。
ケンカも増えた。
冷戦状態にもなる。

でも、別れ話をしたことはない。

今はここが自分の居場所だと思う。


今日は結婚記念日ではない。
特別な日でもない。
ふと思い出した。

「彼女たちの部屋」を読んで考えたのだ。
自分の居場所を。


敏腕弁護士の女性・ソレーヌが大きな挫折をし、居場所を失う。
ボランティアを勧められていった保護施設で、様々な女性たちの人生を聞く。
手助けをしながら、苦しみながら、自分の生きる意味を見出していく。

ソレーヌの居場所、そしてたくさんの女性の居場所。
みんな自分の居場所をつくっていく。
もちろん、女性だけではなく、男性たち、子どもたちの居場所を。


家庭だけではなく、家族だけではない。
私の居場所も、ここだけではない。

居場所を探していこう。
つくっていこう。
自分の安心できるところを広げよう。

そう、noteという居場所もある。

主張しながら、つぶやきながら、自分らしい場所をnoteにつくる。

あなたの居場所を、あなたに。





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川ノ森千都子(ちづこ)☘️モノカキスト
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