読まれなかった1冊の本の旅~大原美術館と原田マハ
「うおお・・・」
圧倒されたように、息子は感嘆した。
大原美術館の威容を見たときだ。
倉敷の美観地区の中に、突如として現れるギリシャ建築の本館。
最後の家族旅行は去年のお正月。
行き先は広島と倉敷だった。
この旅の大きな目的のひとつは、大原美術館だ。
夫は大学で美学を専攻した美術オタク。
私も専門知識はないが、高校のころからちらほらと美術展を見ている。
小さいころから美術館につき合わせたせいか、息子は結構アート好き。
この旅に出る前に息子に1冊の本を渡した。
「行く前にさっと読んでおくといいよ」
その本『楽園のカンヴァス』(原田マハ)は、大原美術館から始まる。
主人公・大原美術館の監視員である早川織江は、飽くことなく所蔵された絵を眺め続ける。
やがて物語は時空を超えて倉敷を離れ、ニューヨークへ、バーセルへ、パリへと旅をする。
画家、アンリ・ルソーをめぐる大きな旅を。
ルソー自身が、ピカソが躍動する。
美術研究家、キュレーターの仕事、美術界、モダンアート、恋愛・・・大きな旅は大原に戻ったあと、ニューヨークで終わる。
私は、ともに旅をした。
グイグイと手を引かれて。
大原美術館にも、MOMA(ニューヨーク近代美術館)にもいったことはあっら。でもこの背景を知っていたら、こんな絵の見方をできたら、もっと違っただろう。そう感じた。
だから渡した小説、なのだが。
・・・読まれることなく、息子の部屋に置かれた。
「間に合わなかった」らしい。
大原美術館は楽しんだ。
息子はモネやクールベを気に入ったようだ。
上はモネの「積み藁」、下はクールベの「秋の海」。大原美術館HPより
本はいつか読もうと思っているようで、今も手の届くところに置いてある。
読む気のない本はロフトに追いやられるのに。
いつか、読むだろう。
その時に倉敷の旅と、この本の話をしよう。
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