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「知的所有権」第13回講義において寄せられた質問への回答

1. 「一度取得された特許の取消の申請」に関しては、特許異議の申し立て制度と特許無効審判制度があります。なお、2018年度の件数は、特許異議の申し立てが1,075件、特許無効審判の請求が159件です。
2. 著作権が本当に必要かどうかは、複数の創作者にインタビューすると分かることがあるように思います。
3. 質問なし。テスト勉強がんばってください。
4. 特許権の侵害に限らず、なんらかの権利侵害においては、通常は権利者から侵害被疑者へ通知ないし警告をし、訴訟前に解決を図ろうとします。なお、実用新案権の行使には警告が必要です(実29条の2)。
5. 不特許事由に該当するのにもかかわらず特許された場合は、特許異議の申し立てや特許無効審判の請求を経て、その特許に係る特許権が消滅します。
6. テスト問題は、前年以前よりもさらに簡単につくりました。ただ、任意の記述問題は新たな出題形式であるため、難しく感じる人も一定数いるかもしれません。
7. 「今後増える権利」という指摘にあるように、権利は一般に増える傾向にあり、これをして「権利のインフレ」と呼ぶことがあります。「増える」とは別のニュアンスかもしれませんが、「忘れられる権利」も含めて、「個人が希望すれば放っておかれる権利」が主張されるように予想します。
8. 質問なし。内容が分かった気がしたようでなによりです。
9. 「卒業研究で発表した発明」について、発明に該当し、かつ発明者として出願するのであれば特許出願が可能です。ただ、通常は発表前に出願したほうがよいです。発表後であればその発明は「公然知られた発明」(29条1項1号)に該当し、救済(30条2項)は限定的だからです。
10. 好きなマンガは、『白竜』です(しばらく読んでませんが)。『ヒトヒトリフタリ』も好きです。
11. 人間に出来ないことでパッと思いつくこと、、、外部電源に頼らずに空を飛ぶことかな。
12. 商標登録出願については、金銭的請求権(商13条の2)の公示の観点から、出願後に公開されます(およそ1-2ヶ月程度)。そのため、出願内容を第三者が流布させることは、それが出願公開(商12条の2)後であれば情報漏洩にはあたりません。
13. 「先願で特許を盗まれた」という意味がわからないのだけど、自分が発明した内容について第三者に剽窃的に出願されたのであれば、その出願について特許されるのを阻むことができますし(特49条7号、特施規13条の2)、誤って特許された場合は、真の権利者は特許権の移転請求ができます(特74条)。
14. 設権と客体的特許要件とは別物です。設権とは手続を経て権利を発生させることをいいます。客体的特許要件とは、ある発明が特許されるために備わっている必要がある条件のことです。
15. 質問なし。たしかに、ある客体について一意的に文章化するのは難しいですね。
16. 質問中、「デザインを真偽して」は「デザインを模倣して」の意味だとして質問に答えます。ハイブランドの商品デザインに似たデザインの商品を販売することは、意匠権侵害、商標権侵害、不正競争防止法違反の観点から問題になることが多いです。参照事案として、ルブタン事件、プリーツ・プリーズ事件。
17. 就活はそもそも移動が大変だよね、体力的にも肉体的にも。
18. 東京で就活する最大のメリットは、東京は他の地域と比較して優秀な人材が集積しているため、優秀な人材に接する可能性を高めることができることにあるように思えます。したがって、優秀な人材に接する可能性を高めたくないのであれば、東京で就職するメリットはうすいように感じます。
19. ロバート秋山さんの「カラダ物まねTシャツ」の発明については、物品のデザインとして意匠権も取得したらいいのに、と思いました。
20. 質問なし。「単語が持つ意味」は精査が必要ですよね。たとえば日本では「heartwarming」の意味で「ハートフル」を使用しているけど、「ハートフル」はhurtful、つまり有害なという意味だからね。「ハートフルな介護」とか、おそろしいよね。
21. よい質問。プログラムの場合、効果が同じだけどソースコードの表現方法に違いがあるのなら、その表現は著作物として保護される可能性があります(cf. 著2条1項1号、10条1項9号)。また、プログラムの目的が同じでも、その効果に著しい違いがある場合(たとえば処理スピードや安定性の向上)は、新たな発明として特許されることもあります。
22. 実際に特許出願したいと思ったときはいつでもDMください。弁理士に相談するのが一番よいです。
23. 特許されている発明についておもしろいと思ったのは、一蘭の「味集中システム」です。
24. 特許権については「申請」ではなく「出願」です。出願から権利取得までの期間は、たとえば特許だと、平均14.1ヶ月という統計があります。意匠登録だと出願から権利化までの期間が平均6.7ヶ月だと報告されています(平均期間はいずれも2017年度実績)。
 商標は、出願から審査着手時期までが平均11-14ヶ月を要しており、遅延が問題視されています。
25. 梅宮さんの「カラダ物まねTシャツ」は、販売するよりも他社による類似品の無断販売を阻止したいという意向があるのかもしれませんね。
26. 公表されている他人のコンテンツを引用する際には、

(1). 引用元のコンテンツと自己のコンテンツを明瞭に区別させること、
(2). 自己のコンテンツが主、引用元のコンテンツを従とすること、
(3). 引用元(作者名や発表媒体)を表示すること、

の3つを守るとよいです。
(1). については、引用元の他人のコンテンツが自己のコンテンツであると混同させないようにしましょう。
(2). については、引用するコンテンツは、自己のコンテンツにおいて言及が必要な範囲にとどめましょう。
(3). については、省略は不可と考えたほうがよいです。
27. スイカ写真事件は、侵害被疑者の創作における依拠性について一通り立証を評価されているものとして首肯できます。
28. 不特許事由(特32条)に該当すると出願内容が発明として認められないのではなく、その発明について特許されないだけです。次に、特許法32条で規定しているいわゆる公序良俗違反とは、「犯罪に使われる可能性」程度では認定されません。農薬だって刃物だって、犯罪に使われる可能性はありますからね。
 審査基準では、発明が公序良俗等を害するものであることが明らかな場合に不特許事由に該当するされており、例として「遺伝子操作により得られたヒト自体」「専ら人を残虐に殺戮することのみに使用する方法」が挙げられています。
 一方で、「公序良俗等を害するような態様で実施される可能性があることを理由として、請発明が不特許事由に該当するものと判断してはならない」という基準も示しており、公序良俗に該当しない例として、「毒薬」・「爆薬」・「紙幣にパンチ孔を設ける装置」が挙げられています。

質問提出率:43.6 % (24/55)


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