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男子高校生が友だちの生理痛を心配していた。そして母は思った。
晩御飯は生協のサーモンフライ。
それをモグモグしながら、花の16歳・高校一年生の息子が母に、相談がある、と切り出した。
「クラスの友だちが、生理痛が辛いって言って帰っちゃったんだよ。それをどう心配したらいいのか分からなくてさ」
素晴らしいぞ、息子。
生理に苦しむ女性を思いやれるのは素晴らしい。
そのまま話を進めたまえ。
「どんなふうに辛いのか、分からない」
「男性に無い器官の痛みだからね。私が君やパパが見る地獄を見ることがないのと一緒よ」
「あれはマジでやばいよ。体育の授業でうっかり当たっちゃった時、立ってられなかったもん」
災難の話も初耳なんですけど!?
まあ、そんなわけだから、痛いのを理解できないのはお互い様なところがあるんじゃないかな。
「そもそもさ、生理って何が起きてるの?」
んん? 息子よ、保健体育の授業で妊娠について教わっていないのかな?
「妊娠の仕組みは授業でやったでしょ?」
「やったよ」
「……教科書は『月経』って書いてあるかも」
「それは知ってる。で、具体的に何が起こるの?」
なるほど。ホルモンバランスが乱れてイライラするとか、出血があるという意味が分かっていないのか。
「妊娠の準備として出来た膜が子宮の内壁から剥がれ落ちる…… あれだ。かさぶたが一気に剥がれ落ちるようなもの」
「ヤバいじゃん」
「で、落ちたものが出てくるところは、量に対して狭い」
「ヤバいじゃん!!」
「人によっては、日にナフキンを5枚10枚使わないといけないほど剥がれ落ちてくる」
「ヤバいじゃん!?!?!?!?」
なるほど、TVでナフキンのコマーシャルは見たことがあったのね。
でも、吸収力を示す液体を吸わせてみる映像も意味が分からなかった、と。
あの量を吸うアイテムが5枚10枚必要というのがショックか……
「そういうわけで、お腹が痛い、と表現します。あと、パンツに仕込みをする。それが結構面倒くさい」
「うん。面倒くさいのは分かった」
なんかゲッソリしているな。お疲れ。
「ママも痛い?」
「薬に頼るほどでもないって感じ。ただ、めちゃくちゃ苛々しているから放っておいてほしい時がある」
「あー…… その友達は構ってほしいって言ってた」
ここで相談に戻るのね。
「痛み収まった、って聞いてあげるだけでも良いんじゃない?」
「そうなの?」
「あとは温かくしてね、とか。冷えるとよけいに痛くなる」
「ふうん」
おお、納得したか。おつかれ!
……ってまだあるの?
「そんなに辛いなら、何か支援とかできないのかな?」
「……労働基準法には生理休暇の規定があるよ」
「マジで!? すげえな」
男子高校生と母親の会話なのだろうかコレ、というところで晩ごはんは終了です。
生理に理解がないと男性が叩かれているのを見かける度に、恐れながら保健体育を履修されていませんでしょうかと感じていたのだけれど、「何がどうなる」「だから本人はどう辛い」を知らないのだろうな。
女性は自分事だから否応なく知るけれども!
ここ数年でかなり生理の苦痛に対する世間的な理解が進んだと感じているのですが、労働で生理休暇があるんだから、学校の出欠認定にも生理休暇(出席扱い)があってもいいんじゃないかな、とも思ったり。
お願いしてみたいこともできました。
保健体育の教科書を執筆される方にお願いなのですが、「月経」という一言で済ませないで、もうすこし踏み込んで書いていただけませんか?
そうしたらもうすこし、行き違いが減る気がするのです。
そんなことを考えた夜でした。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
寒い日が続いています。御自愛くださいますよう。
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