今年もお金の専門知識を増やすために学び続けたい
ふと思い立って2020年秋に国家資格のFP3級、2022年秋にはFP2級(国家資格)を独学で取得した
※そこまでの経緯については『マネーの達人』に寄稿したこちらの記事をご覧ください。
元銀行員の金融ライターとしてある程度の金融知識は持っているが、老いとともに機能が衰えつつある脳に広範囲の金融知識を詰め込むのは想像以上に大変だった。
それでも独学で一発合格したのは、
「主婦感覚では決して安いとは言えない受検料を不合格で無駄にしたくない!」
という強い思いがあったからだろう。
約20年ぶりに試験会場に行って何時間も答案用紙と向き合うのもだいぶ苦痛だったが、「受検料を無駄にしてたまるものか」の一念で辛い試験を乗り越え、見事に一発合格を勝ち取った自分を今でもほめてやりたい。
◇
しかし、資格の取得はあくまでもスタートにすぎないことも承知している。資格は使わなければただの飾り。ライター業務でFPの資格を活用するつもりで取得したのだから、常にFPとして金融知識をアップし続ける必要があると思った。
そこで、資格の維持にそれなりの費用がかかる日本FP協会のAFP(FPの民間資格)も取得しようと決めた。
その後日本FP協会公認のAFP試験(オンラインテストやFPが実務で使うライフプラン表を用いた実技テスト)を受け、それにも一発合格してAFPの資格も取得した。
しかし、それもまたスタート時点にすぎない。AFPライターとしてまともな金融記事を書くためには、常に巷の金融事情や新たな金融知識をインプットし続ける必要があると感じた。
そのために、私は毎年1万円強の会費を払って日本FP協会のAFP認定者になり、さらに毎年トータルで数万円かかる継続教育を受けることを検討し始めた。
ただ、そこに至るまでには自分の中でだいぶ葛藤があり、色々考えた末にその結論に至った。そのことについても少し触れておきたい。
◇
AFPの資格がなくてもFP2級を持っていればそれなりにライターの仕事はある。すでに金融ライターとして記名記事も数多く書いており実績もできていた。だからFPとして新たに事務所を構えるつもりもいまさら金融機関で働くつもりもなかった。
だからこそ、AFP資格維持の費用を年間数万円も出すのは少々もったいない気がした。それでFP2級資格を取得後しばらくはAFPの資格を取ろうかどうか迷っていたのだ。
そんな迷える私の背中を後押ししたのが、学生時代の苦い思い出だった。
私は本当は大学に行きたかったのに、実家の経済的事情や自分の実力不足から短大に進学するしかなかった。いや、正確には地元の私立4年制大学には合格していたが、新設の大学だったことから自ら入学しないことを選んでしまったのだ。
そのような自分の判断が大間違いだったことに気付いたのはずいぶん後の話だが、それが理由で私は長い間地元の新設大学に進まなかったことを深く後悔し、短大しか出ていない自分を深く恥じていた。
しかし、アラ還で一念発起して独学で受けたFP3級2級が思いがけず受かったのをきっかけに、「大学に進学できなかった後悔をFPの勉強をし続けることである程度解消できるのではないか?」と考え始めた。
結果的にはそれが正解だったが、最後まで迷っていたのが年間数万円費用がかかること。主婦感覚ではFP試験の受検料よりはるかに高い費用を自分の学びに払う価値があるのだろうか?と散々迷った。そこは本当に迷った。
◇
とはいえ、よくよく考えてみれば大学で学び直すと国公立でも100万円に近い費用がかかる。学費が安い放送大学で学ぶことも考えたが、色々なことを頭に詰め込んだら今の私では到底ついていけそうにない。うっかり留年でもしたら学費が安くても留年分の学費が加算されて老後資金が大きく削られかねない。
それにひきかえ、トータルで年数万円の「FP協会会費+継続教育費用」は大学ほど高くはない学費だ。比較的安く楽しめるカルチャースクールの受講料とさほど変わらないではないか。
また、以前は2つ受講していたカルチャースクールの受講講座を今は一つに減らしており、その分をAFP資格継続教育に充てると考えればそれほど家計へのダメージはない。
さらに言えば、AFPの継続教育はAFPとCFP(FPの国際資格)の肩書を持つ第一線の職業FPも受講するもので、実践的かつハイレベルな内容らしい。(実際に受講したらもっとハイレベルだったが面白かった)
そのような教育を受け続ければ私の金融リテラシーが爆上がりし、さらに専門性の高い金融記事が書ける可能性が高いだろう。
そう考えるとAFPの継続教育は非常にコスパがよい学びではないだろうか?ジャンルが金融だけに絞られているが、その方が多くのことを頭に詰め込めない私にとってはありがたい。
それなら多少費用がかかっても受講して損はない!と思った私は、一昨年の年末にAFP試験を受けて合格し、去年の1月にはFP協会にAFPとして会員登録を行った。そして今は、仕事や独学を通して新たな金融情報を自分の中に取り入れながらFP協会主催の実践を含めた継続教育講習を受け続けている。
◇
実践的で今の仕事にも役立つ継続教育の勉強は自分でも驚くほど楽しく、新しい金融知識や金融事情を通して社会情勢がクリアに見えるたびにさらに学ぶ意欲が増していく。還暦を前に自分がそんな気持ちになるとは思いもよらなかったが、今はお金と体力が続く限りこの勉強を続けたいと思っているのだから不思議なものだ。
◇
銀行員時代にさんざんお金にまつわる嫌なものを見てきたので、お金に関して学ぶことは必要最低限にとどめていた。クライアントに求められてFP資格の勉強を始めた頃は、「還暦が近い年で今さら新しいことを学んでもどうせ頭に入らない」と思う気持ちもあった。
しかし、しぶしぶ勉強をしたFP3級に思いがけず一発で合格し、大卒でも落ちる人がいる2級も一発合格したことで短大卒のコンプレックスが若干解消できて自分に自信が持てた。
また、AFPの資格維持のためにさらに学び始めてからはどんどん学んだことが頭に入る。そして「こんな年でこんなに頭に入るならもっと若いころからちゃんとお金の勉強をしておけばよかったな~」と変な後悔もするように。そんな自分の意識の変化に日々驚かされる昨今だが、そのことを通して「学ぶ」ことに年齢制限がないと感じるようになった。
◇
「学ぶ意欲がある限り人間の脳は衰えない」
と誰かが言っていたが、たぶん誰でもだと思う。長年に渡って学ぶことから目を背けたり離れていたりしていた高齢者だって、何かのきっかけで学ぶことを再開すれば脳の衰えが止まって人によっては脳が若返るかもしれない。その結果、学んだことがどんどん頭に入っていく可能性だって高い。
そう考えるといくつになっても学び続けることは大切だと思う。そして、今年も私はAFPとしてお金の専門知識を増やすために学び続け、それを可能な限り継続していこうと改めて決意した次第だ。