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セルフプロデュースは難しい~「音楽熱想」サイキック(斎藤滋&菊田大介)回より

今回は「セルフプロデュースは難しい」という話について書きます。ネタ元は「音楽熱想」というstand.fmのトーク番組。語っているのは株式会社ハートカンパニーの斎藤しげる社長とElements Gardenエレメンツガーデン所属の作曲・編曲家である菊田大介さん。斎藤さんと菊田さんで、二人合わせてサイキックとのこと。それではいきなりですが709回目放送より会話を抜粋してお届けします。

※ 会話は分かりやすく要約している部分もあれば聞き逃している部分もあり、必ずしも発言の内容を正確に記載できているわけではないことをお断りしておきます。

サイキック会話より①

斎藤:自分から作った作ったって今でも言わないようにしてる。アニメ全般。
菊田:作ったとは言わないけど、手掛けたとか…。
斎藤:聞かれたら「あ~音楽で関わりました」とか言うけど…。
菊田:本当は凄い人なのに、何かもっと凄味を出したらいいんじゃない?
斎藤:いやーそういうテーマですか。凄みの出し方?
菊田:だから、もっと!「俺は!やってきたんだぞ」と。20年…。
斎藤:鼻持ちならないような…。
菊田:実績がちゃんとあるんだよっていう。いま何か海外しか知らないから。
斎藤:いや、俺その、自慢しちゃいけないって育てられたから…。
菊田:知ってる知ってる、俺もそうだから…だけど、でも、かなりのことやってるわけじゃないですか。
斎藤:そうですねぇ。
菊田:ハルヒ、らき☆すた、ヴァイオレット、もっとあるよ?
斎藤:ラブライブ、アイドルマスター、SideM、ミリオンライブ…。
菊田:ほとんど近年のヒット作に関わってるわけじゃないですか?2000年代のアニメっていったら、もう、欠かせないね、これは。
斎藤:まぁ、名前は良く出ますけど…。
菊田:2000年代に斎藤滋の文字がなくなったら、もうあれですよ、歴史変わってますからね?
斎藤:あ~、まぁ、そうなんですけれども…
菊田:そんなレベルですよ。

斎藤滋さんと菊田大介さん(サイキック)について

ご本人が謙遜され過ぎているので私が言いますが、齊藤滋さんは偉人です。この会話の中で菊田さんが「2000年代に斎藤滋の文字がなくなったら歴史が変わってる」って言ってますが、これは決して誇張ではありません。アニメやゲームがどんどんメディアミックス化していく時代の潮流にあって、その最先端を駆け抜け、声優・アーティストを軸とした音楽ムーブメントを作り上げた立役者のひとりと言っても決して過言ではないでしょう。

斎藤滋さんについては上記のnote記事にて詳しく紹介しています。関わっている作品で特に有名なのは「涼宮ハルヒの憂鬱」「ラブライブ」「アイドルマスター」「響け!ユーフォニアム」「文豪ストレイドッグス」などのシリーズでしょうか。私的には茅原実里ちはらみのりさんの才能を見出し、ランティスで歌手として再出発させた功績から、この世に現存する生き神様のひとりだと勝手に思っております。

一方の話し手である菊田大介さんも、これまたアニソン業界などでは広くその名を知られるお方。私は茅原実里さん関係でその名を目にすることが多いのですが、水樹奈々、スフィア、キスマイ、栗林みな実といったアーティストに楽曲提供していたりします。

ここに行数を取り過ぎると何のための文章かかが曖昧になってしまうので、お二方のご紹介はこのくらいにします。ここで言っておきたいポイントは、斎藤滋さんほどの偉人であっても、自身の実績をアピールすることに対してここまで奥ゆかしく慎重であるということです。

サイキック会話より②

斎藤:でも仰る通りアピールは大事なんだけど、それは自分じゃできないんですよ。
菊田:だから、アピールは自慢じゃないんですよ。やった事実を言ってるだけだから。やったんですよって言ってるだけで。いや、それを別に押し付けがましく言うんじゃなくて、やったっていうのをちゃんともうちょっと分かりやすく提示した方がいいんじゃないっていうこと。
斎藤:どうしたらいいの?
菊田:だからそれはちゃんともっと講演会とかもそうだけど、それによってマネタイズできることもあります。
斎藤:あるある。それはあると思うよ。
菊田:実績をもっとお金に換えれるでしょうという。過去の。
斎藤:僕の実績をお金に換えるような動き方をしてくれるスタッフがいればいいんだ。
菊田:そう。だからそんな人たくさんいるじゃないですか。世の中見渡したら。元○○で、プロスポーツ選手とかもそうじゃないですか。元○○で、だけどその人が教えてくれたら凄い…。

何でもっとアピールしないの問題

お二方の会話に注目しましょ。自己アピールの有用性は分かりつつも、そこに対してどうしても及び腰な斎藤さんに対して、その過去の実績はビジネスにもつながるんだからもっと活用すべしと迫る菊田さん。

この手の図って割とあちらこちらで見られますよね。名付けて「何でもっとアピールしないの問題」。夜の居酒屋ではいったいどれだけのこうした会話が繰り広げられていることでしょうか。私が誰かに言ったこともあるし、逆に言われたこともあります。

日本人の性なんでしょうかねこれは。んーでも、割とこういうアピール上手で成功している人もいたりするから、あながち民族性の所為だとも言えないような気がします。その人の性格なのか血液型なのか。

とは言えこの話、単にその人が個人的にヤキモキするだけとかだったら別にいいのですが、ことビジネスに影響するとなったら、そりゃあ目の色だって変わっちゃいます。斎藤さん社長だから。ご自身のそれまでの実績を武器にマネタイズできるというのならば、それは事業家として目を背け続けるワケにはいきますまい。


coffee break☕

固い話が続いたので、音楽でも聴いてリラックスしてください。
茅原実里さん「SELF PRODUCER」です。
今回の話題にピッタリの曲ですね(?)。
振り付けが最高なので、できたらライブ版も見てみてほしいです。
ゼッタイできるからっ!!


サイキック会話より③

菊田:結構俺ら世代とか40代50代ってある程度実績があるわけじゃないですか。みんなある程度やってきたけど、それを分かってる人はもちろん分かってるんだけど、こういう凄いことをしたんだよっていうのって、やっぱ伝える人上手い人は上手いじゃないですか。
斎藤:そだなー。
菊田:そういうのって大事だなって最近思う。
斎藤:誰か僕をプロデュースしてくれないかなぁ。そうだよね。プロデューサーは自分でプロデュースできないな。セルフプロデューサーにはなれません。
菊田:なれませんよ。難しいと思う。だって「人に何かしてあげたい」からやってるんだしさ。
斎藤:これを聴いてる人の中で、「あ、そういうのあったら僕やります!」って人いたら、「僕が斎藤滋講演会をプロデュースします」って…冗談じゃなくて真面目なやつね、いたらコンタクト宛てからご連絡ください。
菊田:我が町に斎藤滋が来るぞ(笑)。

セルフプロデュースはできません

はい、何か斎藤さんにプロデュースしてって言われた気がしたので、こんな記事書いちゃってます(笑)。さすがに講演会に呼ぶとかは私のリソースでは無理ですが、記事だったらなんぼでも書かせていただきます。こういうのが誰かの目に留まってお仕事増えるといいですね。冗談抜きで言うと、ところざわサクラタウンあたりでだったら斎藤さんの講演やっても割と人集まるんじゃないかなぁと思います。

ともあれ、ここでのポイントは「他力本願」ってこと。いやこれは悪い意味じゃなくてね。自分でやるのは何かと無理なことでも、他者なら出来ちゃうことってあるのですよ。ビジネスなんて割とそういうことばっかり。コンビで営業に行って、一方が他方をいじって「実はコイツ凄い奴なんすよ~」なんてのは割と常套手段だったりします。

斎藤さん仰る「プロデューサーは自分でプロデュースできない」って言葉、その通りかも知れないと私も思います。「いや私は出来る」っていう方いるかも知れないけれど、それでも「自分で自分を褒めて見せる」のと「誰かに褒められてるのを見せる」のとでは、相手に与える印象がまるで違います。前者の方が功を奏すこともあるかもしれませんが、それは奇をてらった自爆特攻みたいなもので、やはり後者の方が万人向けなセールスプロモーションになり得るのではないでしょうか。まぁケースバイケースなので、一概には言えないのですけれどもね。

サイキック会話より④

斎藤:「音楽熱想」とかやっているのも、自分たちの作った場所ならば「やってまーす!」っていうのは全然いいんだけど、アニメーションの音楽プロデューサーとかやってるときに、「これやってまーす!」って僕が言い過ぎるのってちょっと良くない。
菊田:まぁね。
斎藤:だから「音楽熱想」やってるんですけれども。僕この「ハートカンパニーの斎藤です」って言うときに、「こういう作品やってます」って自分で絶対言わないようにしているんですよ。
菊田:あ、そうなの?
斎藤:それは、自慢みたいになって…。
菊田:まぁその、いろんな作品もやってるし。
斎藤:それもあるし、一緒に作った仲間から「斎藤さんひとりでやってるわけじゃないだろ?」と思われたくないし、実際そうだし。「何でウチの作品のことは言ってくれないんですか?」みたいに言われるのも困るし。
その他多数やってますって言えばいいんじゃない?
斎藤:「ウチはその他なんですか?」みたいになっちゃう。
菊田:しょうがないだろ(笑)。
斎藤:だから自分で言うのは難しいんですよ。他者が言ってくれる分には「あぁあれね、マネージャーがそう言ってますけれども、僕は全部等しく愛してます」って言えるじゃないですか。みたいなことですよ。
菊田:そっか。

俺は本当にこれを作ったと言えるのか?

うーん…。これそうなのですよね確かに。

何であれビジネスの生産物って「独りで作った」って言い切れるものが割と少ないんですよね。本当に独りで作ってたらそりゃ「俺が作った」って言ってもいいと思うんですが、普通多くのものはそれが世に出るまでにいろんな人が携わっています。むしろ制作プロデューサーなんて立場は監督みたいなもので、手を動かす人を管理したり指示を出したりといった役割が中心になると思われます。

その結果として出来たものは確かに自分が作ったものなんだけど、でも手を動かしたり知恵を絞ったのは必ずしも自分じゃない。となると「俺は本当にこれを作ったと言えるのか?」ってどうしたってなっちゃいます。分かる。私自身がそういうときあるので。ある制作物の管理責任者っていうだけで自分があまり手を動かしてない仕事の場合、「それ私がやりました」って言いたくないですもん。

あと後半の方で言われてる「何でウチの作品のことは言ってくれないんですか?」というのも分かります。手掛けているものが多岐に渡るほどそういうリスクありますよね。よく会社案内に書いてある「主要取引先」の欄に自分の会社名がないときのあの気持ちよ(笑)。

セルフプロデュース論、貴方は如何?

私はどっちかって言うと、割と「俺が俺が」っていう気持ちが人に比べて強い方…のような気がするのですよね。こうしたnoteみたいな個人活動からビジネスに至るまで。それで若いころから結構いろいろと損してきたって思ってます。なんか坊っちゃんみたいやね私(笑)。

そんなもんだから「これは私が作ったんや!」みたいな思いが強く、それに対してクレーム言われると相手が取引先だろうと売られた喧嘩は買うみたいな性格で。いやーコイツとは一緒に仕事したくないやね(笑)。その反面、自分が作ったんじゃないものを自分が作ったみたいに言われるのが大嫌いでして、それ故に他人と分業するのが苦手です。分業するとしても「ここからこっちは私の仕事、そっちは貴方の仕事」ってキッチリ分けないと落ち着かないという…まぁ我が強いんでしょうね。少なくとも会社員向きの性格ではないなと自分でも思います。

なので今回の音楽熱想、斎藤さんの気持ちがすごく刺さったというか、共感が強かったというか。うんうんそうなんよとうなづきながら聴いてました。斎藤さんだってきっと心の中では言いたいですよ。これ俺が作ったんやぞって。でも「いや、これ本当に俺が作ったって言っていいの?」という思いが邪魔をするんです。不特定多数の方に言うならなおさらでしょう。「だから音楽熱想やってる」っていうの、私的にはすごく腹落ちしました。「音楽熱想」でしゃべってるときの斎藤さんはノリノリで何でも言っちゃう勢いですもん。菊田さんと組むようになってその勢いが加速したように感じます。

私的にまとめると、

・自分で一から十まで作ったものなら、誰にもはばかることなく自分が作ったって言える。

・でも世の中で「自分で一から十まで作った」って言い切れるものってあんまり多くない。

・だから人は「これは自分がやった」っていうのがなかなか言いづらい。

・つまり、セルフプロデュースは難しい。

という結論になったのですが、皆様は如何でしょうか?
皆様のセルフプロデュース論も聞いてみたいです。

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昨年数多の音楽好きを河口湖に集結させたあの夏祭りが!!
今年も還ってくる!!

このポスター画像をクリックすると案内ページに飛びます。
なおこの画像の使用許諾は…後で斎藤さんに聞きます(笑)。

ということで、今年は9月9日(土)~9月10日(日)に渡って、河口湖円形ホールにて開催されます。出演アーティストやチケットなど詳細はリンク先の案内をご覧ください。すでに抽選お申し込みが始まっておりますので、どうしても観たい公演がある方はどうかお早めに。

なお出場アーティストの詳細については私のnoteでも一部書いているので、よろしければこちらもどうかご覧くださいませ。

この記事にてどんな放送なのか気になった方ならびに斎藤滋さんが気になった方は、ぜひこちら「音楽熱想」をお聴きくださいませ。音楽業界のよもやま話やなかなか表に出てこないネタ、アーティストなどの雑談が聴けちゃうトーク番組です。毎朝のお供によろしければぜひ。

(了)

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