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茅原実里さんの例で考える~ライブやコンサートにおけるチケット販売は、一律価格制か、エリア別変動価格制か

茅原実里さんのアコースティックライブ「Sing a Song」を前に、何だか最近ホットな話題になりつつある(ような気がする)「チケット販売は一律価格制が良いか、それともエリア別変動価格制が良いか」という問題について考えてみたいと思います。

12月22日「Sing a Song」のチケットです

ライブやコンサートにおける価格設定の種類

普段アーティストのライブなどを聴きに行ったりする習慣のない方にはあまりピンと来ないかも知れませんが、この類のイベントはアーティストや興行の方針によって価格設定のされ方が異なります。

① 一律価格制

会場のどの席に座っても同一価格。分かりやすいっすね。どの席になるかは多くの場合ランダム(だと思う…購入者が指定可能なケースあるかな?)。公平感はありますがギャンブル性も高いですね。昔はほとんどこの方式だったとか。

② 変動価格制

会場の席の位置などによって異なる価格を設定する方式。アーティストを近くで観れる最前列は高額で、3階とかの遠いところは安い価格になるなど。「ダイナミック・プライシング」なんて呼ぶこともあります。

③ アップグレード制

一度チケットを購入した後に追加料金を支払うことで席や特典などをアップグレードできるという方式。

この他にもあると思いますが、おおむねこんなところじゃないでしょうか。中には「ライブ価格は客が決める」みたいな方式を採用したケースもあるみたいですが、あまりにも例外過ぎるので今回は置いときます。

2024年以降の茅原実里さんライブはエリア別変動価格制を採用

私のイチ推しアーティストである茅原実里さんの例で言うと、2021年に歌手活動を休止するまでに行なわれたライブは基本的に一律価格制だったみたいです(すべてそうだったかは分かりませんが、いくつか確認したところほぼそうだった模様です)。

CDに同梱されていたライブ告知シート。
一律価格制だったことが分かります。

茅原実里さんは2023年に歌手活動を再開し、翌年に自らのホームとも言える河口湖ステラシアターにて20周年記念ライブ「Historical Paradeヒストリカルパレード」を実施するのですが、このときからエリア別変動価格制が採用されています。

SS席 ¥55,000
【特典】:アリーナ席を確約最前列の確約、バックステージへご招待、入場ゲートに優先レーンをご用意、グッズ売場に優先レーンをご用意、サポーターとして、各種クレジットにお名前を掲載
S席 ¥16,500
A席 ¥5,500
B席 ¥3,300
車椅子席 8,250
※ どの席も応援グッズ(フラッグ)付き

茅原実里公式サイトより

そして2024年末の直近に開催される茅原実里さんのアコースティックライブ「Sing a Song」。河口湖円形ホールにて12月20日~22日に開催。チケットは既に完売。席が限られているためか、落選された方も多かったとのこと。

SS席 ¥55,000
【特典】:最前列の確約、終演後のご挨拶、終演後の2ショット記念撮影、パンフレットをプレゼント、サポーターとして各種クレジットに名前を掲載
S席 ¥11,000
A席 ¥8,800
B席 ¥6,600

茅原実里公式サイトより

翌年2月28日に東京・渋谷で開催される茅原実里さんのライブ「Message」。ただいまオフィシャル先行2次受付中(来年1月6日まで)。

SS席 ¥55,000
【特典】:終演後ミート&グリートにご招待、非売品の記念品をプレゼント、公式サイトなどのクレジットにネームを掲載
S席 ¥15,400
A席 ¥8,800
B席 ¥5,500
車椅子席 ¥8,800

茅原実里公式サイトより

ところでここまで読んで、「茅原実里さんってどんな方だろう?」って興味を持たれた方、よろしければ「Historical Paradeヒストリカルパレード」について書いた私の手記をご覧ください。彼女の歩んだ道のりパレード、そして茅原実里さんの歌手活動における聖地とされる河口湖周辺、ライブ会場の様子などについてなるべく詳細を記したドキュメントです。

茅原実里さん、チケットについてかく語りき

このエリア別変動価格制の導入にあたっては賛否両論の声があったらしく、茅原実里さんご本人もその受け止められ方について気にされたのか、以下のような動画をアップし、チケットのことについて自ら語っています。

このYouTube放送はとても分かりやすくこの問題について語っているので、以下引用します。気になったらぜひ声優でもある茅原実里さんの美声を再生して聞いてみてください!!

<賛成側の意見>
・最前列と最後列が同じ価格なんて納得いかないから、変動価格制はアリ。
・観る場所を自分で選択できるのがイイ。
・3,000円台~5,000円台でライブを観れる機会はなかなかないから嬉しい。

<否定側の意見>
・どの席になるのかっていうドキドキ感とかワクワク感も含めてライブの醍醐味じゃん!
・価格差の開きが大きすぎる。
・経済的な理由で前方のエリアはあきらめるしかない。

茅原実里公式YouTube「ミノリズム」より引用

茅原実里さんはこれらを「賛成側も、否定側も、たくさんある意見のうちの一部なので」と前置きしたうえで、賛否分かれることをある程度予測しつつもエリア別変動価格制に踏み切った理由を大きく3つ述べられました。ここは長くなるので要約します。

① それまでのライブと違い、楽曲(新譜)プロモーションのためという位置付けではなくなったため、収益性を意識して行なうことが必需となった。

② 2021年当時と比べて人件費や機材費等が高騰し、一律価格制だと1枚あたりのチケットをかなり高額にしなてはならなくなった。

③ このライブにあたり「2日間sold out」という目標を掲げており、そのためには常連ファン層のみならず新規のお客様や久々に戻ってきた層にもリーチできる価格帯のチケットを用意する必要があった。

茅原実里公式YouTube「ミノリズム」の茅原実里さん発言を要約

これらのことを述べられたうえで、茅原実里さんはこうまとめています。

何にどれくらいお金を使うのかっていうのは、その人のタイミングや状況でまったく違うので、お金の価値は人それぞれだと思っています。
(中略)
座席に関係なく、皆さんの大切なお金を使って買っていただくチケットになると思っています。なので、それに見合う、納得していただけるものがお届けできるかどうかは私次第なので、そこは勝負ですね。

茅原実里公式YouTube「ミノリズム」より引用

これは「Historical Paradeヒストリカルパレード」の前に公開された動画ですが、つい先日、12月14日にもXのスペースにて同様のテーマについて語っています。

語られた内容(エリア別変動価格制にした理由)についてはYouTubeとほぼ同様と思いますが、「Historical Paradeヒストリカルパレード」を経たためか、あのときよりはソフトな口調で語られているように感じました。

「エリアごとで熱量が変わるんじゃないか」とか「このエリアはあまり需要ないんじゃないか」とか、そういう声も実際あったんだけど、でも、実際やってみて「そんなことはないんじゃないかな」って、私は感じてます。どのエリアも割と満遍なく埋まっていたし、ステージから見ても、どのエリアもみんな凄く盛り上がってくれてたし、楽しんでくれてたなって感じてて。だから私自身、買っていただいたチケットの金額の違いで応援してくださっている方の熱量が違うとか、そんな風にはまったく思ってないですね。

茅原実里公式Xアカウント、2024.12/14スペース放送より引用

この発言には実際にエリア別変動価格制を実行したうえで、ステージ上から見た実感がこもっていると思われたので、ちょっと長いのですが引用させていただきました。この後はオフィシャル先行の抽選における当落を巡る話について述べられているのですが、本稿においては割愛します。

それにしても、アーティストご本人がここまでビジネス面について赤裸々に発言されること、それ自体が凄いことだと私は思っています。普通こういう話はアーティストの所属事務所が考えることであり、なかなか観客側が耳にすることのない類の言説ではありませんか。彼女が現在フリーであり、事務所に忖度する必要のない立場だからこそできるカミングアウトであると思いますが、それだけに発言に責任も伴いますし、その言葉に並々ならぬ情熱も乗っています。ここまで真剣に考えて考えて、考え抜いたうえで、決めた道を貫くと自らの肉声で宣言する、そんなアーティストだからこそ応援したくなるのですよ。茅原実里さんていう人は!!

私はホントのところ、このことについてどう思っているか

私だったらチケットどっちの制度がいいのかについて。極めて個人的な事情で発言しますけれども、私自身は「エリア別変動価格制」一択です。ただその理由が、おそらく他の方とは異なっていると思います。

実は私「そもそもあまり前の席に行きたくない」んです。

なので、一律価格制で最前列とかになっちゃうくらいなら、むしろあえて多少後ろ目になるA席ら辺に納まりたい類の人間なのです。

いまでこそ多少は慣れましたが、それでも私にとってライブってとても緊張するイベントです。

特に茅原実里さんくらい長いこと歌手活動やっていると、例えば「この歌のときはここでこのコール!」とか「このフレーズが鳴ったらこの振り!」とか「ここでジャンプ!!」とかのお約束がいろいろあったりします(それも歌ごとに違ったりするのです…)。

このため、ファンに成りたての頃はまさか自分がライブに行けるようになるなんて想像もできなかったし、ライブ映像を見るにつけ「私があの中に入ってみんなと同じようにするなんて無理無理無理、ムリムリのムリっ!!」て思ってました。それでもSNSなどで皆様に優しく誘ってもらい、何とか人生で初めて歌手のライブなるものに参加することができたのです。

さすがに茅原実里さんファンになって4年以上経つので、当時よりはライブの立ち振る舞いに慣れたと思いますが、それでもやはり往年のファン皆様と同じ勢いでついていけるかっていうと、まだ自信ないのですよね…。

なので私は金額的よりも精神的な問題で、S席より後ろになるA席を意図的に選んでいる感じです。うん、私にはやっぱりそのあたりがちょうどいい。それより前になると、自分にそんな資格があるのかって自問自答してしまうと思います。多分に考え過ぎかもしれませんが。
(なのでこないだのHistorical ParadeヒストリカルパレードでA席なのに前から5列目だったときはビビリました💦)

ただ、否定派の言い分も分からないことはありません。席をランダムにされるのは勘弁してほしいところですが、確かに価格差の問題っていうのはあるかと思います。

思うにこの問題が何かと議論されるのは、エリア毎に価格が違うためじゃなくて、最上位のSS席の価格だけそれ以下の価格から外れ過ぎているためではなかろうかと…。とはいえ、現時点での結果を見ればそのSS席が飛ぶように売れているので、あえて資本主義的な物言いをすれば、そこの需要と供給が釣り合うことが証明されてしまった以上、おそらくSS席についてはこの路線でしばらく行くんだろうなぁと思います。何と言うか、SS席は単に最前というだけではなく「推し活におけるひとつの到達点」みたいな意味合いを持っているんじゃないかと。傍観者的な物言いで申し訳ないですが、そんな風に捉えている次第です。

この問題をどう捉えるかはそれこそ人によって異なると思います。
茅原実里さんはご自身の考えと経験からひとつの結論を出されました。
読者の皆様はどうですか?
ライブに行くことなんてないという方も、考えてみると面白いかもです。

そんなこんなで…
直近の茅原実里さんライブのご紹介!!

▼茅原実里さんの歌と大嵜慶子さんのピアノによるアコースティックライブ「Sing a Song」。河口湖円形ホールにて12月20日~22日に開催。チケットは既にSold outです!!私は12月22日(日)に行きます!!

▼売り切れの神あれば拾える女神あり。茅原実里さんのライブ「Message」が2月28日(金)に今度は東京・渋谷にて開催。活動20周年の集大成となりそうな予感。来年1月6日までオフィシャル先行2次受付中ですっ!!

茅原実里さんについてご存知なかった方も、興味があれば公式ページ私のマガジンなど見てみてください。最近新しいファンの方増えてます!!そして本人に会いたくなったら2月28日(金)のライブを先行予約!!茅原実里さんのファンはみんなとても優しいので、初めてアーティストのライブに行くという方でも安心です!!

(了)


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