戦争によって愛と憎しみが混ざり合う時憎しみが愛を駆逐する。愛よ、駆逐されることなかれ!
私は、パートナーシップにおいて苦手意識があります。今まで自分は「男運が悪い」と思っていました。が、本当に「運」次第で決まってしまうなんてあるのか?見直すために、結婚前にお付き合いしていた人との別れの場面を想起しました。今から、23年くらい前の話です。 私は、電車の改札口の外から改札口から出てこようとする彼を止めて、彼が私の自宅に置いていた荷物の袋をいきなり渡しました。私は、彼に向って「今日で終わり」と告げました。彼は、突然の出来事に目をぱちくりさせて口をポカーンと開けていました。何が起こったのか?分からないようでした。私はもう一度「今日で終わり」と言い、その場を立ち去りました。その時、胸が張り裂けそうなくらいの痛み、頭痛、涙、悲しみ、絶望感で、「明日からどうやって生きていったらいいのだろう。」という思いで、まるでジェットコースターを急降下したようなひどい喪失を味わいました。自分から別れを切りだしたのに、彼を喪失した痛みはずっと癒えぬまま蓋をしたままでいました。
付き合ってすぐに彼の母親が半身不随になり介護で故郷に帰ってしまったことで遠距離恋愛となり、5年がたっていました。遅れる婚期に苛立ち、別れることにしました。改札口での出来事を何度も想起しているうちに、蒸気機関車が見えてきました。時代は、100年ほど前の時代に・・・
私は、戦争から帰ってこない彼を戦地に探しに行き続け、やっと見つけることが出来ました。が、彼は戦地で新しい家庭を持っていました。捕虜となった彼は、酷使され倒れて捨てられていたのですが、村の娘が助けて看病し一命をとりとめたとのことでした。最初は記憶喪失だったのですが、彼女と結婚し子供が生まれるという生活に入って落ち着きを取り戻し、私のことを思い出したそうです。彼の家で、奥さんと話し、奥さんは「仕事から帰ってくるので、駅まで行きましょう。」と言ってくださいました。私は、汽車から降りてくる彼を見て、愛しさと憎しみで胸が張り裂けそうでした。私の愛する人が他の人と結婚してしまったという絶望感で「今日で終わり。」だと自分から別れを告げて汽車に飛び乗りました。そこで、過去の思いがリンクし引きずっていたことに気づきました。張り裂けそうな胸の痛み、頭痛、絶望感を何度か通り抜けているうちに冷静になってきました。ほかに打つ手があったのかもしれないと気がつきました。 彼は、心変わりをして他の人と結婚したわけではなく、奥さんも私に彼に会いに行くように促してくれたのですから。もしかしたら、穏やかな別れか、話し合いによって絶望感や喪失感を回避できたのに。一方的に逃げ出してしまった。戦争にさえ起らなければ自分の男運を嘆くことはなかった。戦後の渦中では理解できなかったことが想起によって再現できた。
自分を卑下して、人生を無駄にしてしまったことを反省する。
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