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美術館巡り「歌と物語の絵―雅やかなやまと絵の世界」泉谷博古館東京
泉谷博古館東京(東京・六本木)で「歌と物語の絵―雅やかなやまと絵の世界」(2024年7月22日まで)が開催されています。
展覧会の案内より
古来、語り読み継がれてきた物語は、古くから絵巻物など絵画と深い関係にありました。和歌もまた、三十一文字の世界が絵画化されたり、絵に接した感興から歌が詠まれたりと、絵画との相互の刺激から表現が高められてきました。
物語絵や歌絵の特徴のひとつは、精細な描写と典雅な色彩。宮廷や社寺の一級の絵師が貴人の美意識に寄り添い追求した「やまと絵」の様式を継承することでしょう。そして、ストーリーに流れる時間を表すかのような巻物、特別な場面を抽出してドラマティックに描き出す屏風など、長大な画面にさまざまな表現が生まれました。古典文学は、後世の人々が自分自身に引き寄せて味わうことで、読み継がれ輝き続けてきました。それに基づく絵画もまた同様です。
本展では、近世の人々の気分を映し出す物語絵と歌絵を、館蔵の住友コレクションから選りすぐってご紹介します。雅やかで華麗、時にちょっとユーモラスな世界をお楽しみください。
古典文学の有名な作品を描いたもの、あまり知られていないけれども、描かれたものとしておもしろいものが、たくさん展示されています。
竹取物語や伊勢物語、源氏物語に平家物語といった物語世界を、さまざまな時代の作家が絵に表現してきました。
現物でしかわからないのは、色と大きさです。今では多くの作品を図録などで見ることができるようになりました。しかし、どうしても色合いは現物と図録、写真とでは異なります。図録で詳細に見る良さもありますが、美術品として鑑賞する上では、現物だけの楽しみがあると思います。
また、作品の大きさは、現物でしか体感できません。思っているよりもずっと小さくて細かかったり、ずっと大きく壮大であったり。それを体感できることも、現物を見る楽しみです。
特に気に入った作品の中で、ポストカードになっているものを何点か購入しました。
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執筆者:古原大樹/1984年山形県生まれ。山形大学教育学部、東京福祉大学心理学部を卒業。高校で国語教師を13年間務めた後、不登校専門塾や通信制高校、日本語学校、少年院などで働く。2024年に株式会社智秀館を設立。智秀館塾塾長。吉村ジョナサンの名前で作家・マルチアーティストとして文筆や表現活動を行う。古典を学ぶPodcast「吉村ジョナサンの高校古典講義」を公開中。学習書に『50分で読める高校古典文法』『10分で読める高校古典文法』『指導者のための小論文の教え方』がある。