90年代後半~00年代ハウス・ミュージック(2):備忘メモ
90年代後半~00年代のハウス・ミュージックは、気付いたら消えていなくなっていたというトラックメーカーやプロデューサーがたくさんいた。それは時代と共に廃れがちなジャンルならではで、意図的に思い出さないと忘れてしまう。
だから埋もれさすには惜しいトラックを備忘のメモとして残す。かつてレコードで購入した音源がメインとなり、これはその記録の2つめ。
(備忘メモの(1)はこちら)
Them Drums (Version Dub)/Swag
シェフィールドを拠点に活動する、Chris DuckenfieldとRichard BrownによるユニットSwagによる、2曲入りの12インチは自身のレーベルVersionから2003年のリリース。
男臭いヴォイスサンプルとレゾナンスの効いたシンセベースが強烈なアフロビートによって存在感を放つ1曲。中盤以降はスペイシーなシンセも入ってきたりと飽きさせない展開。
なんとも頭の悪そうなトラックだけれども音色のセンスも良く、渋いトラックだから古臭さを感じさせずに使い勝手も良くて好き。
B面に収録のシンセパッドによってディープにリミックスされた「Them Drums (sol_shaka Remix)」も好き。
ちなみに、カバーに描かれた黒い文字は後から書かれたものではなくこういうデザインだった。
What I Want (Club Vocal)/The Soulplanet Jazz Ensemble Featuring Ilayal
LAのレーベルSoulplanet Recordingsから2003年のリリース。
西海外らしい浮遊感と、艶っぽくて上品な女性Voが心地よいディープ・ハウス。主張し過ぎないシンセリードやサックスの音色が、ジャジーでそのバランスが絶妙だからセンスの良さを感じる。
浮遊感をそのままにパーカッシブなハウスビートがリズムを支えて上品なトラックに仕上げた、「What I Want (Deep & Sexy Dub)」もなかなか良い。
Whe Got Tha (Main)/ATFC & Mark Knight
UKのレーベルOnePhatDeepaから2004年のリリース。
Aydin Hasirciによるプロジェクト、ATFC(Aydin The Funki Chileの略らしい)とMark Knightによるシングル。
小気味よいギターサウンドのおかげでファンク色の強いハウス。
ヴォイスサンプルや挿し込まれたいくつもの雑多な効果音もいい感じでピークタイムへ向けて、場を温めたり盛り上げるのにオススメ。
Twisted Tweak/Phatzoo
スウェーデンのレーベルJust For Fun Recordingsから、2006年のリリースで2曲入の『Twisted Tweak EP』への収録曲。
変態的なシンセループが印象的。バールのようなもので無理やりこじ開けるかのような強引さのあるメロディーでピークタイム向け、アッパー・トラック。とっても頭が悪そう。
リズムパートが抜けてからのシンセのフレーズもキャッチーだから盛り上がること必至。
少し派手すぎるからダサいと感じる人もいるかもだけど好き。
B面収録「Big Bash」も、展開は地味だけど変態シンセがグイグイきていてよい。
Todo Mundo (Pizzamix Extended)/Casablanca Feat. Gabry
イタリアのレーベルSix Of Usから2003年のリリース。
ブラジリアンなハウスで、爽やかな女性ヴォーカルがなんとも心地よい。
夏に野外で聴きたくなるような高揚感がありながらも、渋谷系を彷彿とさせるボサノバのとようでもあるから踊るだけでなくリスニングにも耐えられる。
サンプリングの元ネタがありそうな気がするんだけど、検索にヒットしないから不明。残念ながらYouTubeへのアップロードもなかった。
Under Pressure /The Supermen Lover's
The Supermen Lover'sとして活躍していた、フランスのプロデューサーGuillaume Atlanが自身のレーベル「Lafessé Records」からリリース。
3曲入りの『Material Disco EP』へ収録されていた曲で、ヴォコーダーで加工されたヴォーカルが印象的なフレンチタッチ。
ディスコテイストなために適度にポップだけども、派手すぎずグルーヴ感もある。
2004年のリリースだから、まだフランスのハウスシーンに元気があった頃のリリースだったと思われ、Thomas Bangalterのレーベル「Roulé」が好きなら合うと思う。
Time (Prax Paris Remix)/Elya
フランスのParadise Recordsから2003年リリース。
曲の印象的にはSophie Ellis Bextorが近い。哀愁を帯びた女性Voの歌モノハウスで、展開が単調だけどもポップだから聴きやすい。
ノスタルジックを感じさせるコーラスがキラキラしていて、いつまでも踊っていられるような多幸感に包まれる。
This Is What You Are/Was A Bee
イタリアのレーベルSchemaから2004年にリリース。
イタリアの国民的シンガー(らしい)Mario Biondiによるスモーキーで渋い男性ヴォーカル、そしてウッドベースとトランペットで聴かせてくれるスウィンギンでジャジーなハウス。
キックのビートがタイトだからつなぎやすいけど、ロマンティックだからこじんまりとしたラウンジ向きで、プライベートな空間でかけると雰囲気が出るオシャレハウス。
取り敢えず今回も8枚のレコードの感想をまとめた。
自分の買ったレコードなのにほとんど忘れているから、聴き返してみて「こんなの持ってたな」と思い出すようなトラックばかりで再発見が多い。
また気が向いたらストックを掘り返してメモとして残す予定。