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柳都シリーズ

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#柳都シリーズ

別れ

 俺と鹿内は、「美しい柳都を守る」という当初の目的の通り、公認探偵としてそれなりに活躍してきた。柳都の中心部から外れたあたり、柳都駅南口のそばの雑居ビルに、俺たち二人は住居兼事務所を構えて、捜査活動を行ってきた。事件数に比するようにして増えていった有象無象の探偵事務所の中でも、俺たちの̻̻鹿雲探偵事務所は一定の評判を得ていたし、よそから見ればその経営は順風満帆そのものだったろう。

 鹿内の助手と

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二重回想

「為口くん、いるかね」

 その声に私が目を覚ますと、すでに日は落ちていて、居室は真っ暗だった。どうやら、大学から帰宅した直後に寝落ちして今に至るらしい。昔のことを夢の中で追体験していたらしい。私にとって邪屋との出会いはそれだけ強烈で、そして文字通り人生を変えるものだった。

「います。ちょっと昼寝してました」真っ暗な部屋に私の声が響く。

「そうかね」電気をつけながら、邪屋は言った。「おや、よほ

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光明

 私がその凄まじい男と出会ったのは、小学五年生のころだった。当時私は両親と兄の家族で暮らしていた。しかし、実力至上主義であった両親は、優秀だった兄に多くの時間を割き、私と兄は食事にすらも大きく差をつけられていた。平たく言えば、私はネグレクトを受けていたのである。

 そのため、まともな食事を求めて、自宅から3㎞近く離れた子ども食堂に通うような有様であったが、治安の悪い柳都のことである。その道中誘拐

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出会い

 鹿内と俺が出会ったのは、高校生の時だった。柳都でも随一の進学校である府立柳都高校に入学した俺は、小学生のころから続けてきた剣道部に入った。それが当然だと思っていたし、俺自身もまだまだ強くなりたいと思っていたからだ。

 鹿内は当時二年生で、先輩にあたる男だった。

「雲居くん、僕とちょっと手合わせしてくれないかな」

 入部の前に経験者であることを伝えたからか、あるいはそもそも新入部員に経験者が

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ある屋上にて

 柳都日報メディアシップの屋上、柳都中心部を一望できるヘリポート。もう日が変わろうというこの時間に、雲間から除く満月が、二人の人間が向き合って立っているのを照らし出していた。

 一人は高身長で細身、一人は中背で筋肉質だ。最初に話し始めたのは、細身の方、巷で話題の連続殺人鬼だった。

「君にしてはいい趣味だね、メディアシップの屋上とは……」

若くやや高い声が、物腰柔らかに語りかける。

「お前が

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「SHERLOCK」にて

 柳都の中心部、古町のアーケードの一角には、ミステリー好きの集まる小さな喫茶店がある。料理やスイーツ、コーヒーとともに、上質な「謎」にも舌鼓を打てると評判の店で、リーズナブルな価格設定もあってか、平日でもランチや、うまいコーヒーを淹れる若店長との会話を楽しみにする人々でにぎわっていた。

 この喫茶店では、食事とともに「謎」と題されたカードが配られ、お会計までに書かれた問いを解き、見事正解していれ

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