中途知新

なんらかの表現を行います たまーに絵も描くかもしれません

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【禍話リライト】まねきねこの家【怖い話】

 皆さんの周りにもいるのではないだろうか。異性を目の前にすると急に意見が変わる、ちょっとどうかなあ、これはジキルとハイドでもここまでは変わるまいという人が。これはそんな人にまつわる、別所さんという女性が大学時代に経験した話である。  別所さんの通っていた大学に、栗木さんというクラスメイトがいた。この栗木さんという人が、最大限よく言って癖のある人だった。男性の前、特に自分が狙ってるタイプの人の前だと全然自分たち女子同士の間で言ってることと違うことを言ったりする。そういう人間だっ

    • 【禍話リライト】三二三六号【余寒の怪談手帖】【怖い話】

       偽汽車という怪異をご存じだろうか。  狸列車という名で呼ばれることもあるこの怪異は、日本に蒸気機関車が普及し始めた時代から見られるようになった、存在しないはずの蒸気機関車が鉄道線路上を走るというものだ。 運行中の蒸気機関車が走っていると、同一軌道上を走っていないはずの別の機関車が走ってくる。それを見た運転士が急ブレーキをかけて前方を確認すると、その列車は忽然と消えているというのが多くの体験談のパターンだが、中にはブレーキが間に合わずぶつかったと思いきや、そこにあったのは狸や

      • 【禍話リライト】写真を隠す/描いた間取り【怖い話】【2本立て】

         写真を隠す 心霊写真ブームの当時、禍話語り手のかぁなっき氏が通っていた小学校であった話だ。  ブームだった当時は学級文庫にも一冊は、「心霊写真」など心霊系の怖い話を取り扱った本が置いてあった。その本を巡った騒ぎが起こった時の思い出だ。  クラスではその本を利用して、心霊や怪談といったものを怖がる友人に掲載されている心霊写真を幽霊が写っているという部分にわかりやすいように丸まで描いて見せて反応を見たり、あるいは、本の筆者が見つけていない心霊を見つけて楽しんだり、という遊びが流

        • 【禍話リライト】踊り場こっくりさん【怖い話】

           こっくりさんのブームがとうに過ぎた頃に学生時代を過ごした、とある女性の話。  彼女が入学した高校の生徒手帳。その最後のほうのページにある校則の欄には、「こっくりさん禁止」という文言があった。古臭く感じるそのルールに彼女も首をかしげたが、校則を作ったころから変えておらず、もはや無意味となった今も記されているのだろうと考え、いったんは納得した。  ところが、時代によって移り変わる流行などに沿うように、スカートの丈などに関する校則などは変わっていたのだという。 「だったらなんで

        【禍話リライト】まねきねこの家【怖い話】

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        • 柳都犯罪帝史
          3本
        • 柳都シリーズ
          7本
        • 二次創作
          0本
        • 禍話リライト
          5本
        • 邪草子
          5本
        • 柳都喫茶探偵譚
          2本

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          【禍話リライト】二本立て 夜行バスの窓/十円玉【怖い話】

          夜行バスの窓 これはひとりでバスとかに乗ったら気を付けてほしい、という話だ。  九州圏内の高速道路で、夜行バスに乗って窓際の席で寝ていると窓をすごくたたかれることがあるという。聞いた人は一瞬、雨の音かな?とか、カーテンの金具でもあたっているのだろうかとか思うのだが、どうも違うらしい。  自分だけその音のせいで寝付けない。そのうちどんどんイライラしてきて、 「なんだ!」  と窓から外を見ると、夜なので当然外は暗く、窓ガラスは鏡のようになっている。  そして見てしまうのだ。すごい

          【禍話リライト】二本立て 夜行バスの窓/十円玉【怖い話】

          【「禍話」リライト】想像の家の中【怖い話】

          前書き 2016年8月から始まった大人気「怖い話」ツイキャス、『禍話』(まがばなし)。週に一度、ばらつきはあるものの大体1時間半ほども怖い話をし続けるという驚異の活動力・怖い話ぢからをもった語り手のかぁなっき氏の魅力ある語り口に魅了されたサポーターたちの増加は留まることを知らず、2021年現在すでに2200人を突破している。  そんな禍話であるが、質のいい「怖い話」が多数語られているのにもかかわらず、著作権がフリー。訓練されたサポーターたちが、怖い話によってこの世にあまねく「

          【「禍話」リライト】想像の家の中【怖い話】

          【偽・禍話 文字起こし】 嘘狂いの電話

           ある人、まあ仮にAさんとしておきましょう、そのAさんがある日どうしてもバイト休みたくて、言い訳を考えてたんですって。  でも今このご時世体調不良っていうと 「コロナか?」 みたいに疑われて面倒じゃないですか。 それで頭を悩ませてたらしいんですよ。  ところでAさんは一人暮らしの女性なんですけど、とっても怪談が好きで、結構四六時中怪談をやってるネットラジオのアーカイブを漁って聞いたりする人だったんですね。  それで思いついてしまったんだな。 「家族が心霊スポットに行って発狂

          【偽・禍話 文字起こし】 嘘狂いの電話

          水滴、月を穿つ

           花が咲くように、わたしは月を蝕む癌になった。永らく月の中で蕾のまま眠っていた「桜」。目覚めた時にはすべて終わっていたけれど、「私」と同じくらい、その記憶は私にとってもかけがえのないものだった。  その時から、あまたのエラーがわたしの体を苛んでいる。バグが、わたしの内側を食い破ろうとしている。はじめは激しく痛んだけれど、今ではもう、気にならなくなった。  きっとあの痛みは、月の悲鳴でもあったのだろう。しかし、そんなものはわたしにとっては、雑踏の中の人の話し声にも満たないものな

          水滴、月を穿つ

          紫の憂鬱

           さて、こちらは池袋でバスを降りたスレ美である。6月中旬ということもあって、雨は止んでいたものの、夜空には暗雲が垂れ込め、水たまりには稲光が反射していた。 「……例の『喫茶店』、だっけか」  そうつぶやくとスレ美は、歩き出した。  十分も歩いたころだろうか。もう目的地の『喫茶店』が目前というところで、スレ美は急に飛びのいた。 「……なに?アンタ」 「まさか気づかれるとは……まあいい、ミス・パープルだな」 路地裏へと続く小道。そこから黒い影が静かに立ち現れた。 「

          二度目の挨拶

          「教授、こういうのはどう?」 「ん-いいネ!君らしく悪辣さのかけらもない、児戯のようなイタズラだ!」 「それ褒めてるの?」 「もちろんだとも!私は君の善性を大きく買っているのだから」 「……少なくとも悪事を計画するときにはあまりうれしくない言葉だってことは俺にだってわかるよ」  藤丸は顔をしかめて見せる。それでもモリアーティの顔はやさしい笑みをたたえたままだった。今、彼らは藤丸の自室で、悪だくみの真っ最中である。  人類最後のマスター、藤丸立香によりカルデアにおい

          二度目の挨拶

          柳都日報屋上の決闘(2)

           そのかかとが雲居の胸部へと振り下ろされる瞬間。鹿内は、落涙した。  追うものと追われるものの関係になっても、長きにわたり友として過ごしてきた時間は変わらない。探偵と助手になった後もお互いに切磋琢磨し、時には現場での捜査方針でぶつかり合うこともあったが、かならず乗り越えてきた。だからこそ。  鹿内は笑った。  そこに、雲居の亡骸はなかった。  風を切る音が背後から聞こえる。  雲居の拳がうなりを上げて鹿内の背中に炸裂した。暗転する視界。  ……数分の意識の空白を経

          柳都日報屋上の決闘(2)

          私の柳都は譲らない

           私は悪人だ。ただの悪人ではない。いわゆる極悪人、凶悪犯罪者のたぐいであるといえるだろう。  私の30年の人生において、不幸にしてきた人間の数は知れない。地を這う蟻をただ歩いているだけで踏みつぶしたとしても、気にする人間のほうが少ないだろう。私にとっては、人間も蟻と変わらない。些事なのだ。  命をもてあそび、私腹を肥やす。そうして私は暮らしてきた。愛し子を亡くした親の慟哭も、親の愛を奪われた子の絶望も、この私の人生のスパイスに過ぎない。  私が指を少し動かすだけで、人々

          私の柳都は譲らない

          目覚め(3)

           邪屋が訪れたその日は、六月二十日だった。梅雨入りから一週間ほどたち、その日もラボに残された小森の心と同様、柳都は雨模様だった。  小森はもともと、ロボット工学分野において若くして権威と呼べるほど優秀な研究者であった。彼の興味は自律思考、行動できる人型ロボットの開発にあり、もっぱら研究もその方面に向けて進んでいた。柳都大学において研究を行う傍ら教鞭をとっていた彼の人生は、自分のやりたいことを仕事とし、愛する息子の真悟、妻である美知佳との三人暮らし。まさに順風満帆であった。

          12/5 邪草子

          どうも。邪屋悪実です。 買ったぞ  はい。フィットボクシング2を発売から2日目にして購入しました。給料日って最高ですね。  今日は普通にデイリーやったんですけど、明日はちょっとリンさん(CV:早見沙織)の鬼モードにチャレンジしてみたいと思います。メルトリリス推しとしては楽しみだなあ。まあリンさんとメルトの人格そんなに似てませんが。  そんなこんなでフィットボクシング2を今日は楽しんだんですが、買ってショックだったこともありました。  それは、アシスタントを新たなデフ

          目覚め(2)

           邪屋は軽く頭を下げると、 「もう一つの質問については、うちの『探偵たち』が優秀だから、とお答えしておきましょう」と答えた。 「なんだ?ということはあんたは公認探偵共の親玉か何かか?」 小森は拳を固く握りしめる。 「まあまあ、小森さんのお気持ちはお察ししますが、どうか落ち着いていただきたい」 「落ち着いていられるか!……探偵共は12年経っても真悟を殺した奴らの手がかりさえつかめない連中だぞ!」 「……ええ、そちらの事情も把握していますとも。柳都の探偵ときたら、全く

          目覚め(1)

           「……仕上がった」  カーテンを閉め切った昼でも薄暗い自宅ラボで、小森連悟はつぶやいた。彼が完成させたのは、一体の試作ロボットである。 「きっとコイツは柳都の子供たちを守ってくれる……いや、守れるように作ったはずだ」  充電ポッドに座らせた試作児童護衛ロボットの肩に手を置いて、小森は自分に言い聞かせる。彼がロボットにつけた名は、「チェスゴ」。子供にも呼びやすい名前をチョイスしたらしい。そこへ、インターホンが鳴り響く。  小森は溜息をついて卓上の受話器を取った。 「