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読書人間📚 「ほかならぬ人へ」白石一文



「ほかならぬ人へ」白石一文



「ほかならぬ人へ」と「かけがえのない人へ」の二篇。
尊い時間は、その時には気づけないものか。気づけないからこそ尊いのか。案外、本当に必要で大切なものは近くにあったりする。居心地の良さに、それを改めて幸福だとも感じず日々が過ぎてゆく... 。
私にもそんな経験があります。不思議なもので、それに気付くまでは孤独を感じることはなく、気付いてしまえば孤独に苛まれる。
解説、宮川直実さんの文章がこれまた素晴らしく、最後に更に作品の深みが増し、目頭をじんわりさせる感動を促しました。そこに作者の宮川さんへの手紙文が掲載されています。

「__一人きりの孤独なんて大したことない。
死ぬほどの孤独にはならない。
だから引き篭もりの人もホームレスの人も案外自殺しない。
本当の孤独は、誰かと一緒にいるときに感じるんですよね。
恋人同士や夫婦がうまくいかなくなると、そういう死ぬほどの孤独がやってくる。だから、ちゃんと選ばないと実はエライ目にあうし、みんなそういう目にあってるんです。__」

20代の終わり、私もエライ目にあいました。作中にある、"ベストの相手"ではなかったのでしょう。今となってはその位の歳に経験しておいて良かったとは思いますが、またも同じことは繰り返すまいと、このまま独身でいる方が精神の安定を守れるのではないかと、ふとよぎる時もあります。
ほかならぬ人、かけがえのない人と思える出会いがまた訪れるのか、ないのか、既に側に在るのかわかりませんが、人を愛するということは命がけであると心底感じた読書時間でした。
出来ることなら、命がけの愛に死することなく全うしたいです。





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