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キャリアの転機をポジティブにとらえる方法 その3 茂木健一郎のポジティブ脳教室からの学び
前回投稿したようなフロイトに代表される精神分析的な心理学は歴史も古く、人の病理、そしてとても「ネガティブな」側面を中心に分析し、どう変容できるかを研究した理論なのに対して、ここ20年ほどはマーティンセリグマン教授によって発表され一大流派になってきているのが「ポジティブ心理学」です(ポジティブな気持ち・考え方というのはネガティブな気持ち・考え方と表裏一体と考えられてます)。日本でも「幸福学」や「ポジティブxxx」というがとても多く書籍やブログ等で発表されていて、本当に良い流れだなーと思ってます。
そして超有名な脳科学者である茂木健一郎さんも最近「茂木健一郎のポジティブ脳教室」ということでラジオされているんですね。茂木健一郎さんの書籍は20代の頃、経営学しか学んでいない私でもわかりやすい言葉で脳科学の本を多数出版され、貪るように学んだ記憶があります。今回まとめようと思っていた内容がもうほんっと素晴らしくわかりやすい言葉で解説されていたのでそこから引用しようと思います。
偏桃体がネガティブからポジティブに変換
大学の授業でも何度か出てきました、ぐるぐる思考。非常によくある人間の性格の傾向のようです(ビックファイブと呼ばれる性格の五大要素の神経症的傾向の方に多いよう)。うじうじとずっと考えちゃうことってありますよね。気分転換に散歩したらいいとか、お酒飲む人、甘いもの食べる人、あとは寝る人、様々対処方法あると思いますが、でも結局頭のどっかでは考え続けてしまって、ぐるぐるうじうじと抜けないあの思考です。気分転換は必要ですが、でも根本解決するには、前回も紹介した要は認知行動療法的なその行動への「認知」そのものを変える技法が役立つと思ってます。
茂木健一郎さんはラジオの中で下記のように仰ってます。
脳には扁桃体という感情の中枢があるのですが、それはネガティブなエネルギーをポジティブなエネルギーに変えることができる回路なのです。そのきっかけになるのがメタ認知。自分自身を振り返る、自分自身を客観的に見るといった視点があると再解釈ができるようになります。
たとえば、「仕事で失敗した」はネガティブなことですよね。だけど、「全部成功している人に比べれば、失敗している私のほうが学習するポイントはたくさんある」と考えればポジティブになります。そのように、メタ認知をして前頭葉を中心に解釈し直すと、ネガティブな考えが強い人ほど一気にポジティブな考えにすることもできます
なるほど。ダニエル・ピンクさんの「The Power of Regret」の中でも紹介しましたが「せめてもの幸い」思考に近いですね。自分の欲望・願望とは異なること、嫌なことがあったとしても小さくても何か一つ「せめてもの幸いは・・・」と考えて一筋の光明を見出す方法です。そしてそれは偏桃体が担うんですね、なるほど。
メタ認知についても、ちょっとWikipediaから引用します。
メタ認知は「客観的な自己」「もうひとりの自分」などと形容されるように、現在進行中の自分の思考や行動そのものを対象化して認識することにより、自分自身の認知行動を把握することができる能力
もうひとりの自分、という表現は分かりやすいですね。外から客観的に自分を見てみるという感じでしょうか。ダニエル・ピンクさんの本では「イリイズム」という表現で三人称で表現してみる、という言い方もされてた技法とも近いですね。私が・僕が、と表現するからつい感情的になって周りが見えず、そしてうじうじとぐるぐるとその思考から抜け出せなくなってしまう。であれば思い切って自分から抜け出してみて、なぜこう考えているのだろうと他人事にしてみるのですね。これはすぐに試せそうです。
まとめ
認知行動療法などと難しい技法や方法を学ばなくとも、こうしてわかりやすい言葉でしかも実践的に的確にさくっと表現される茂木健一郎さんはやっぱり素晴らしいですね。職場や家庭でもわかりやすい言葉で、このように少しでも人の助けに、ポジティブに生活できる支援ができたらなと思いました。