猫と短歌
猫は好きですか。
猫派 or 犬派 ?
猫顔 or 犬顔 ?
猫背! 猫舌 ! 猫っ毛! とか
会話の種、猫にまつわる言葉、猫を用いたことわざや慣用句もたくさんありますね。
猫と人とは昔からとても身近な存在のよう。
子供の頃、公園に捨てられた生まれて間もない仔猫を拾って帰り、母に飼いたいとお願いしたことがありました。
実家は飲食を扱う商店だったので、それは叶わず泣く泣く戻しに行きました。
ミーミーと鳴く小さな声が今でも忘れられません。
昔からなぜだかとても惹かれています。
猫を見かけるとつい写真を撮りたくなるし、猫雑貨にもついつい手が伸びたりなんかして。
猫にまつわる思い出もいくらかあります。
どこが好きなんだろう。
かわいいだけじゃない、なんだか不思議なこの魅力。
ゴロゴロとのんびり自由気ままな印象もあれば、ヒョイッと軽やかな素早い身のこなし、神妙に考えごとでもするかような知的さもあいまって。
掴みどころがないというか、ほっとけないというか なんというか
ついてゆきたくなるのです。
短歌を始めたきっかけは ある日の景色… と前にお話しましたが、その景色にも猫の姿がありました。
家から駅までのいつもの道で たまに見かけるトラ猫さんがいました。
首輪がついていたのでその辺りのお宅で飼われている家猫さんだったのでしょう。
人に慣れていて 道ゆく人に可愛がられていました。
“この猫さんに会えるといいことがある ” と、いつからか勝手に決めつけて、私も通りすがりに声をかけたり撫でたりなんかしていました。
会えてよかった〜と思わせる不思議な猫さんでした。
どっしりと貫禄があり、クールな目で見つめられると いつでも私のことを見透かしたように何かを語りかけてきそうな雰囲気でした。
遊ぼう〜と誘ってもツンとして つれないなぁーと思っていたら、足元にサラッと体をすり寄せてきたりして。
いきなりゴロンと転がり かわいいポーズを決めたと思ったら、スッと起き上がってツンと静かに去ってゆく … なんとも魅惑的に。
見事なまでに完璧なツンデレ。
その猫さんに いつしかパッタリと会うことがなくなっていたのです。
随分経ったある元旦の朝、駅へ向かうその道の冷たい空にチリンとかすかな鈴の音が聞こえました。
立ち止まって見上げると、高い塀の上からその猫さんが私のことをじっと見下ろしていたのです。
お久しぶりの登場、思いがけない再会に驚いてしばらくそのまま見つめ合いました。
それはそれは猫さん物言いたげな表情で。
(この時の情景です。ふっと浮かんだ言葉がなぜか短歌の形にピタッとはまったのでした。
学校の授業で習ったきり、短歌のことなんてすっかり忘れていたので不思議ですね )
元旦早々縁起がいいなぁ!と 私は例の独自のジンクスで、まるで大吉でも引いたような清々しい気持ちになって出かけたわけなのですが。。。
そのあとの待ち合わせの場所で、熱々のコーヒーを頭からきれいにかぶるという超絶ミラクルでドラマチックな大ドジ
ホットコーヒーの紙カップを受け取って、2階席へ向かう階段の途中で躓きました。
あっ!となって力が入り、カップを握ったのかどうなのか、弾みでふたが外れたのかどうなったのか、中身がまるごと頭上から。
ドリフや吉本新喜劇にも負けないほど見事に。
熱いわ、痛いわ、恥ずかしいわ、、えらいこっちゃのトリプルパンチ!
元旦早々、縁起が・・・
猫さんに会ったからだったりして?
そんなことを言われると、とんでもない!と否定しました。
猫さんに会ったからこれで済んだんだと思う!会ってなかったら車に轢かれて私はここにいなかったかも!きっと守ってくれたんだ って。
あぁ、会えてよかった。
あの表情は “気をつけなさい” と言っていたのかもしれません。
なんて、
今に始まったことじゃない 単なる自分の鈍臭さが招いただけのドジな話なのだけど
伝説になってる笑い話です。
でもこの猫さんとの再会が短歌のきっかけだった訳だから
あぁ、やっぱり会えてよかった。
#8. 『 猫 』
⭐︎きみを待つ風を忘れたブランコと日陰の土を温める猫
⭐︎春へゆくまっすぐとゆく白猫のモンローウォークについてゆきたり
ー ちる ー
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