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「やる気」だけでは足りない!行動を起こすための3つの必須条件【フォッグ・ビヘイビア・モデル】

私たちは「モチベーションさえあれば行動できる」と考えがちですが、それは不十分です。スタンフォード大学のBJフォッグ教授が提唱したフォッグ・ビヘイビア・モデル(Fogg Behavior Model)は、「動機(Motivation)」だけでなく「実行能力(Ability)」と「トリガー(Trigger)」の3つが揃わなければ、人は行動しないことを示しています。


📊行動を生み出す3つの要素

人が行動を起こすためには、次の3つの要素が同時に満たされる必要があります。

1. 動機(Motivation)

フォッグ教授は、動機を人が本能的に求める3つの基本的な欲求に基づいて分類しています。

  • 快楽 vs. 苦痛(Pleasure vs. Pain)

    • 人間は快楽を求め、苦痛を避ける傾向があります。

    • 例:おいしいものを食べるために料理をする、運動の苦痛を避けて怠ける。

  • 希望 vs. 恐怖(Hope vs. Fear)

    • 未来への期待や不安が行動の原動力になります。

    • 例:キャリアアップのために資格を取る(希望)、病気を防ぐために健康診断を受ける(恐怖)。

  • 社会的受容 vs. 拒絶(Social Acceptance vs. Rejection)

    • 人は他者に受け入れられたいという強い欲求を持っています。

    • 例:SNSで「いいね!」をもらうために投稿する、職場で孤立しないために積極的に発言する。

2. 実行能力(Ability)

どんなに動機があっても、実行のハードルが高すぎると人は動かない というのがポイントです。行動のしやすさは、以下の要素で決まります。

  • 時間(短時間でできるほど行動しやすい)

  • お金(コストが低いほど実行しやすい)

  • 身体的な負担(労力が少ないほど行動しやすい)

  • 思考の負担(シンプルなほど行動しやすい)

  • 習慣(既に定着している行動は続けやすい)

3. トリガー(Trigger)

「行動しよう」と思っていても、適切なタイミングでのきっかけがないと動けません。トリガーには3種類あります。

  • スパーク:動機が低いときに行動を促す(例:「今だけ50%オフ!」)

  • ファシリテーター:実行能力が低いときにハードルを下げる(例:ワンクリック購入)

  • シグナル:動機と実行能力があるが、単に忘れているときに思い出させる(例:スマホの通知)


💼ビジネスや自己成長に活かす

1. 動機を高める

  • 顧客の心理に基づいたマーケティング(例:限定セールを活用し「恐怖」を刺激する)

  • 社員のモチベーションを高める施策(例:達成感を得られる目標設計)

2. 実行能力を向上させる

  • 業務のシンプル化(例:ワンクリック購入、シンプルな申請フロー)

  • 学習コストの低減(例:新人研修の簡素化、マニュアルの改善)

3. トリガーを設計する

  • 適切なタイミングでの通知(例:リマインダーや自動フォローアップメール)

  • 行動を促すデザイン(例:カートに入れた商品の「買い忘れ」通知)

💡自己成長への応用

フォッグ・ビヘイビア・モデルは、個人の成長にも大いに活用できます。

1. 動機を高める

  • 目標を具体化する(例:「健康になりたい」ではなく「半年で3kg痩せる」と設定する)

  • 自分にとってのメリットを明確にする(例:「資格取得=収入アップ」など)

2. 実行能力を向上させる

  • 行動のハードルを下げる(例:運動を始めるなら「週3回ジム」ではなく「毎日5分のストレッチ」から)

  • 環境を整える(例:読書を習慣化するためにベッドの横に本を置く)

3. トリガーを活用する

  • リマインダーを設定する(例:毎朝のアラームと一緒に「今日の目標」を確認する)

  • 習慣と結びつける(例:歯磨きの後に1ページ読む、通勤中に英語を聞く)

  • 適切なタイミングでの通知(例:リマインダーや自動フォローアップメール)

  • 行動を促すデザイン(例:カートに入れた商品の「買い忘れ」通知)


📊まとめ & 実践のチェックリスト

このモデルが示しているのは、「やる気さえあれば行動できる」という思い込みを捨てることの大切さ です。行動は「やる気の問題」と片付けられがちですが、実行能力の向上やトリガーの工夫を加えれば、驚くほどスムーズに変化が生まれます

📈 行動を起こすためのチェックポイント

  1. 動機は十分か?(例:「この行動をするメリットは何か?」)

  2. 実行能力は高いか?(例:「簡単にできる形になっているか?」)

  3. トリガーは適切に設定されているか?(例:「適切なタイミングでリマインドできているか?」)

もし、あなたや周囲の人が「なかなか行動できない」と悩んでいるなら、「やる気が足りない」のではなく「実行しやすさ」と「きっかけ」が足りないのかもしれません。この3要素を意識し、行動しやすい環境を整えてみてください!

参考文献:
Fogg, B.J. (2009). "A Behavior Model for Persuasive Design." In Proceedings of the 4th International Conference on Persuasive Technology, Article No. 40.

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