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短編『何も気にならなくなる薬』その266
呑み代が思ったよりも高くつく。
まぁそれも自然なことだ。これだけの人数とそれだけ楽しくやっていることを思えばそれなりの金額になるのは致し方ない。
楽しかった一日から夜が明けて、お金について改めて考える。
「塵も積もれば山となる」とはよく言ったものだ。
今までのカフェ代の総額を考えるとおそらく目を回すことは間違いない。
ちょっとした楽しみとはいえ、それを毎日してしまえばだ。
頻度を減らすとかもっと特別な時にお茶をするとか……色々考えようはあるのだろう。
昨今では節約方法なんて調べればいくらでも出てくる。
節約=我慢だとするのなら、ほとんどの情報が根性論になる。
しかし、調べてみると案外約に立つというか、目からウロコだなと思うこともある。
カフェの積み重ねもその一つだが、
「折りたたみ傘を常に持つこと」というのはなるほどと思わされた。
天気予報も技術が進んでいるが何気ない雨に降られてコンビニでビニール傘を買う。
安くても700〜800円はする。しかも宝くじとは比にならない確率で紛失する。
なんて高い買い物だろう。
なさけない浪費の代表格といっても過言ではない。
荷物が増えしまうが、バカバカしい出費をするよりかはマシだろう。
このことから折り畳み傘は必ずカバンに入れるようにしている。
もう一つは電車代。
ようするに交通費。
定期券が買えればそれに越したことはないが、私の場合は職場が転々としてしまうのでどうにも定期券の買いようがない。
色々と調べてみると交通網の発達のかいもあり、様々な方法で目的地に向かえる。
バス、電車、はたまたレンタサイクル。
天気が悪ければ自転車というのはどうしようもないが、
この電車というのも特に都内は乗り方一つで片道7〜80円は変わったりする。
乗り換えがしやすく、かつ早く目的地にたどり着ける方法はやはり値段が高い。
いつもより早く駅を目指すだけで、時間がかかるが安いルートを選べる。
毎日それだけの節約ができる。
「早起きは三文の得」というのは未だに存在したのだ。
しかしながら、カフェ代というのはなかなか削りづらい。
ゆっくりできる空間、かつ作業もできる。
この上ない空間だ。
「家に帰ればいいでのは?」と言われればそれまでだが、家というのはどうにも誘惑が多い。
炊事洗濯家事、アレコレやっているうちに目的を見失ってしまったりする。
しかし、これが本当に一番の節約しやすい物事のような気がする。
気に入った豆を買って、家でコーヒーを淹れれば、一杯あたり4〜50円くらいだ。
カフェで4〜500円使うことを考えると
場所代が400円くらいか。
もし、ゆっくり本を読むのであれば、公園でも過ごしようがある。
コーヒーを水筒に淹れて近所の公園に行く。
これだけでもだいぶ節約になる。
まぁ、その場所に納得がいけばの話だが……
電車の中で本を読んでいる人は圧倒的に少なくなった。
実際のところ本なんてのは、文字を読めるだけの明るさと読む気があればどこでも読める。
朝早く起きて水筒にコーヒーを淹れ、
少し早く駅について、時間はかかっても安く済む電車に乗り、その中で本を読む。
いくら節約になるだろうか。
節約もそうだが、何故か健康的にもみえてくる。
だいたい一日五百円、ワンコイン分の出費が浮く。
これが塵積になったらどうなるだろう。
結構な額になること間違いない。
しかし、節約のために不幸せになるのは癪だ。
なんの為に生きているのか訳が分からない。
この浮いたお金で少し良い喫茶店に行くのもありだ。
そう考えたら、
節約=贅沢をするため手段
なのではないだろうか。
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