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短編『何も気にならなくなる薬』その288

役立たず

男の子

二度寝


ジリリリリ、ジリリリリ、ジリリリリ、けたたましく目覚まし時計が鳴り響くが何の役にも立たない。
長年の付き合いが慣れを引き起こしてか、彼を眠りから覚ますことができない。
しまいには頭を引っ叩かれ、二度寝という屈辱的な行動まで取られてしまう。
目覚まし時計が立ち上がり、男の子の枕元を飛び跳ねる。
聞く耳を持たないならとお腹の上を登ったり跳ねたり。
しまいには頭突きを食らわせる。
「痛っ」
男の子が頭を抑えて起き上がる。
「目覚ましが落ちてきたのか」
頭を擦りながら片手に持った目覚ましに目をやる。
「あっ、もうこんな時間」
慌てて支度をして玄関を飛び出す。
その後ろ姿を目覚まし時計はただ眺めていた。

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魚亭ペン太(そのうち公開)
美味しいご飯を食べます。