古今集巻第十七 雑歌上 932番
屛風の絵によみあはせて、かきける
坂上これのり
かりてほす山田の稲のこきたれてなきこそわたれ秋のうければ
屛風の絵に詠み合わせて、書きける
坂上是則
刈りて干す山田の稲の扱き垂れて鳴きこそ渡れ秋の憂ければ
屛風の絵に合うように詠んで、そこに書いた歌
坂上是則
刈り取って干す山田の稲は扱いくと実が垂れ落ちる、そのように涙を垂らして雁は鳴き続けるものだ、秋は物憂いので
「刈り」は「雁」との掛詞、上の句二句は「こきたれて」の序詞です。稲の粒が落ちることを、秋の物憂さに雁が涙を流す様子と例えています。
おそらく屛風に雁の絵が描いてあるので、秋の空を雁が泣きながら鳴き渡る、と歌を詠んで、その屏風に書き込んだのだと思います。
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