岩波少年文庫を全部読む。(65)リーアム・ニーソンかブルース・ウィリス主演の冒険アクション? メアリ・ノートン『空をとぶ小人たち』
《借り暮らし》の小人であるクロック一家は、野生派の味方・スピラーの尽力もあり、リトル・フォーダムにやってきました。
小人がミニチュアパークに住んでいたら
リトル・フォーダムはひとつの村を再現した〈模型の村〉(ミニチュアパーク)です。そこでは、建造物も道路も、いっさいが〈借り暮らし〉サイズに縮小された、完璧な小世界でした。
メアリ・ノートンの『空をとぶ小人たち』(1961。林容吉訳、岩波少年文庫)は、『川をくだる小人たち』(1959。同前)に続く《小人の冒険》シリーズ第4作。
彼らはふたりの人間──ミス・メンチス(メンジーズ)と、ミニチュアパークの創設者であるポット氏──に存在を知られてしまいます。
ミス・メンジーズは優しく思いやり溢れる人で、アリエッティの味方。
心優しく(人間の世界ではおそらく)変わりもののふたりは、借り暮らしの存在を秘匿すると約束し、彼らが暮らしやすいミニチュアの家を用意しようとします。
リトル・フォーダムは《借り暮らし》たちのあいだで、けっこう話題になっている場所だったのです。
わかりやすい悪役
川を隔てて、リトル・フォーダムにとって商売敵とでも言うべき〈模型の村〉がありました。
オーナーのプラター夫妻は、客寄せのために派手な演出も辞さない性格。わかりやすい悪役です。旦那さんは貪欲な葬儀屋で建築家。
彼らは《借り暮らし》の実在を知って驚きます。「ほんとうに住民がいるミニチュアの村」が川向いにできたのでは、自分たちの〈模型の村〉は商売上がったりではありませんか。
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