岩波少年文庫を全部読む。(64)人は目の前にいてくれる時間より、思い出したり言及したりする時間のほうが長い メアリ・ノートン『川をくだる小人たち』
借りぐらしの時計一家は、人間の少年トムの家に住んでいます。借りぐらしの人たちは、トムとおじさんが引っ越してしまうので、自分たちが飢えてしまうのではないかと心配しています。
メアリ・ノートンの『川をくだる小人たち』(1959。林容吉訳、岩波少年文庫)は、『野に出た小人たち』(1955。同前)に続く《小人の冒険》シリーズ第3作。
シリーズが完全にサヴァイヴァルアクション化
本作で、サヴァイヴァルアクションとしての方向づけが完全に固まります。
人間の少年トムが飼っていた鼬やフェレットが、クロック一家の強敵となります。そこに、前作から登場した寡黙な一匹狼の小人スピラーが家の下の排水溝を経由しt戻ってきます。その通路はスピラーだけの秘密の通路でした。
スピラーは一家に、リトル・フォーダムというミニチュアパークに行くことを提案します。自分たちサイズの建築物や道が整備され、運がよければ食べものにもありつけるという噂があるのです。
スピラーはアウトドアに複数の隠れ家を持っています。クロック一家はそのひとつである薬罐に一時避難します。しかしスピラーの留守に雨で薬罐が川に流されてしまいます。
さらに川で、以前捕まりそうになったジプシーのマイルド・アイに見つかって捕まってしまいます。一家は泳げないのです。マイルド・アイに捕まったら見世物にされてしまう、さあどうする……。
クロック一家の親類たち
このシリーズには、クロック一家の親類たちも登場します。
というか、じっさいにキャラクターとして出てくる場面はさほど多くもないと思うんですが、登場人物たちの会話や地の文で言及されることが多いんですよね。
それで、登場人物や語り手が言及してるこの人って、どういう人だっけ?とわからなくなることがよくあります。
それで、メモをとってみました。
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