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醜形恐怖症
中学生になったちんはこうしてモンスターとなったのだ
そんなちんに新たな試練が神様から課されることとなるのだ
それが醜形恐怖症なのだ
中学生のころ、いやもっと前からちんは不細工だってことはパパもママも言ってたしわかってたのだ
それに、中学生の間は裏でずっとブスって呼ばれてたからちんも自覚していたのだ
でも高校生になってそれはちんの心をさらにさらに真っ黒にする呪いになっていったのだ
中学を卒業したちんは国府台女子学院に入学したのだ
ここではモンスターのちんを優しく受け入れてくれる同級生と先生がたくさんいたのだ
でもさすが女子高、みんなきらきらかわいかったのだ
ちんはそれまでメイク?なんてしたことなかった
でも同じクラスのおなごたちがメイクを教えてくれたのだ
ちんはそれからメイクにハマっていったのだ
そしたらだんだん、
どうしてちんの目は一重なのだ?
どうしてちんの鼻はこんなに低いのだ?
どうしてちんの歯並びはこんなに悪いのだ?
どうしてちんのあごはこんなにでているのだ?
自分の顔が醜くて気持ち悪くて鏡を見られなくなっていったのだ
国府台女子学院はメイクが禁止なのだ
それでもちんはメイクをしないと外に出られなくなるまでにびょーきが悪化していったのだ
家から徒歩1分のコンビニに行くときも学校に行くときも家に業者の人が来るときもいつだってメイクしてたのだ
そしてマスクが外せなくなったのだ
ペットボトルにはストローをさしてマスクを外さなくても飲めるようにしたのだ
お弁当の時間は寝たふりをしてママの作ったお弁当は家に帰ってから一人で食べるようにしたのだ
痩せるように吐いてみたり、下剤を大量に飲んだりしたのだ
ある日のことだったのだ
ちんのメイクを注意してきたクラスのおなごがいたのだ
ちんは、ちんだってこんなことしたくないのだ!!ちんだってメイクしなくてもいいくらいかわいくなりたいのだ!!
そうだ、整形すればいいのだ
ちんは涙を流してその日は早退したのだ
そして学校からの帰り道にカミソリと針と糸と眼帯を買ったのだ
部屋で一人、カミソリを手に取って
でも怖くてただ震えて泣いていたのだ
そんなちんは大学生になると鬱がひどくなり容姿なんかどうでもよくなって自然と消えていったのだ
あの時の小さなモンスターに声をかけるなら、一重もかわいいのだって言ってあげたいのだ