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全ては幼い頃の純粋無垢な気持ちだった
記念すべき1冊目の本は
「ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験」
この本との出会いは表紙が見えない、本の内容だけがちょっと書いてある
っていう状態で見つけたものです。
宇宙兄弟が好きで、”宇宙”というワードに惹かれて読んでみました。
実際の宇宙飛行士候補生に密着するドキュメンタリー本
本作では日本で10年ぶりに行われた宇宙飛行士選抜試験に
初めて取材をすることに成功したNHKの番組スタッフによるドキュメンタリー本です。
それまではなかなか公にされてこなかった宇宙飛行士の選抜試験を
候補者に密着しながら嘘偽りなく書き記されたこれは
まさに「リアル宇宙兄弟」でした。
私には全てのキャリアを捨てる覚悟があるのか
大前提、宇宙飛行士になるにはJAXAの職員として(その中でも宇宙飛行士として)働くことが必須になります。
要するに、今まで積み上げてきた全てのキャリアを捨て、
壮大なこの宇宙という世界に飛び込んでいかなければなりません。
今回の試験には、最前線で働くパイロットや、医者、研究者として働く面々が揃っていました。
私はまだ、社会人になって2年目だから、候補者の方々に比べたら
なんてことないかもしれないけど、それでも今の仕事をやめてまで、夢を追いかける覚悟や情熱があるかと言われると、どうだろうと思ってしまいます。
候補者たちに共通するのは、「心のどこかにいた、宇宙飛行士になりたいという夢」。
その夢がどんなキャリアよりも、どんな生活よりも、キラキラと輝いて見えていたのだと、なぜか心にずっしりと重いものが残りました。
何歳になっても、そうやって夢を追いかけて人生を賭けることができるって
本当に素敵だなと。
夢には大きいも小さいもないんだと、むしろ夢はそれぞれの人にとって何よりも大きいものなんだと。そう思いました。
試験で求められるもの
今回の試験で彼らに求められるものはたくさんありました。
その中でも、私に一番ぐさっと刺さったのは
「自らの精神状態が普段と違う時はそれを自分で把握して自身で修正できなければ勝機はない」という著者の言葉です。
試験では普段と違う、候補者を追い詰めるような環境で試験をおこないます。どうしても、日々プレッシャーや孤独感を感じる生活を送ってしまうと
自らの精神状態も、きっとみたことないものがもくもくと出来上がっているであろうタイミング。
そんな中で、そんな自分を自身で把握をし、修正をすること。
それは日々の仕事の中でも活用できるのでは、と思いながら読んでました。
仕事でも宇宙の空間でも、予期せぬ事態は日々日常茶飯事で。
そんな中でも、状況を把握し、整理し、理解し、
今自分ができる最善はなんだろう、私がこの状況下で撮れる写真って
なんだろう、自分の最大限を引き出せる環境に自分を修正すること。
どんな時も冷静に、かつ、「自分らしさ」を失わないこと。
きっと仕事に一番大切な能力であると気付かされました。
それだけじゃなくてユーモアと少年心も大切で
だけども、冷酷な人になれってわけでもなくて。
本書では、”ユーモア=人を楽しませる力”が宇宙では何よりも必要だと
書かれている。
宇宙空間ではいろんな国の人と何ヶ月も滞在生活を送るわけで。
人見知りしてたら、多分、生きていけないし、そもそも飛行士になれていないだろうし。
社会人としても生きていく中で、ただ黙々と仕事をするだけじゃ
多分何も生まれないんだと思います。
特に営業部だし、お客様いてこその仕事だし、大前提スタッフがいての
私だと思っているし。
人と話して、人と関わって、人と出会って、人と楽しんで、人と苦しんで。
このループが何よりも自分自身を認めることのできるものだと私は感じます。
少年の頃の自分が何よりも今の自分を作っていた
どんな逆境でも、自分自身を諦めずに進めている候補者たち。
それはただ、「宇宙飛行士になりたい」というその気持ちだけでした。
自分が幼い頃に感じた高揚感と、何者かになりたいという小さな小さな
心の種が大人になった自分を動かしていました。
だからこそ危機に直面しても、予定外のことが起きてしまったとしても
「自分らしさ」を失わずに行動できる。自分が積み重ねてきた努力を信じてそれを自信と誠意を持って伝えることができる。
ここに出てくる候補者たちは誰よりも人間味のある方々でした。
私も叶えていた中学生の頃の夢
今回、この本を読んで、自分自身に当てはめてみました。
私もあんまり実感がわかないうちに将来の夢を叶えていました。
中学生の頃、全体集会の場で自分の将来の夢を発表する機会がありました。
私がそこで発表したのは「カメラマンになりたい」
父がカメラが好きで、家には大量の私たちのアルバムと、リビングには写真と、とにかくカメラや写真に触れることの多い家でした。
当時は朝読書の時間にさえ、小説なんぞ読まずにHABUさんの空の写真集を
見るくらいに写真というものにすごく興味を持っていた時代でした。
でも、そのころはカメラマンなんて、いつ日の目を見るかわからない
10年下積み時代があって当然だと思っていました。
自分にはそこを耐えられる自信がない、夢のまた夢だなといつしかカメラマンになりたいと思うことは無くなっていました。
でも、今、私はカメラマンとして人前で撮影をさせていただいています。
中学生の頃の自分に言ってあげたい。
「あの時、カメラマンになりたいって思った気持ちが実は消えていなかったよ。いろんな道があるよ、いろんな出会いがあるよ。」
何よりも私は父が、カメラが大好きな父が
少しでも私がカメラマンになったことに対して
喜んでくれていたら、
それだけでなってよかったって思うし、
少女時代の私の純粋な想いが今に繋がっているんだと
ちょっとでも思いたいなと。
そんなことに気づかせてくれた1冊でした。
おしまい。