【私の教員休職記・これからの人生をどう生きるかを考えた「ノマドランド」】
※ネタバレあり。見ていない方は気をつけて。
先日、「ノマドランド」という映画を観た。ドキュメンタリータッチの、人間模様を描いた作品が好きなのと、評価が高そうだったので、気になってみる気になった。
ほとんど事前情報もなしに見たが、引き込まれるものがあった。
主人公の女性が自分の車をキャンピングカーのようにして、そこで生活し、転々とアメリカ各地を旅しながら生きていく。同じような立場の人たちとそこで出会っていく。それを描いた物語だ。
私も旅が好きで、いわゆるバックパッカーとしてヨーロッパ各地を旅したことがある。そこでは、たくさんの人たちと出会った。日本人もいたし、韓国人も、南米系もいた。いろいろな話をして、夜を過ごした。それは今でも素敵な思い出として私の中に残っており、その体験は今の自分を支えてくれていると言っても過言ではない。素敵な思い出だ。
しかし、この「ノマドランド」に出てくるのは、当時の私のような若者ではなく、人生の晩年にさしかかった人たちだ。年老いた人たちが自分の意志で旅をする。それは、若者がするそれとは全く違った「暗さ」があった。
誰にも等しく時間が過ぎる。若かったものもいずれは年をとる。できればいい状態で年をとりたい。少なくとも私はそう思っている。この物語の中では、知り合いの旅人が亡くなったり、リーダーのような人が、なぜこのような旅を続けているのかの重いルーツなどが語られる。決して、若者が目を輝かせて新しい土地を旅する、というキラキラしたものではない。しかし、人生とは、こういうものなのかもしれない。
自分は、果たして年老いた時に、このような旅をしたいだろうか。そして、よい老い方とは、何なのだろうか。考えさせられた。
人生の終盤を自分はどう過ごしたいのだろう。まだ全く答えは見つからない。ただ、今がよければそれでいい、ということではだめだろうとは思っている。これからの何十年か、自分はどう振る舞うべきなのだろうか。
9回裏までバッターボックスに立っていたい、と思うのは、私だけなのだろうか。