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日本における仏教(2)

日本の仏教の概略を、日本における仏教(1)にて、 
記事にしました。 
もともと、仏教は紀元前8世紀~紀元前5世紀頃に
インドのガウタマ・シッダールタによりはじめられた宗教です。 
しかし、日本への伝来は中国経由でした。

理由は色々ありますが、インドは遠すぎる点があげられます。
中国から日本に文字が伝わったのが1世紀頃と言われ、
日本は弥生時代の中ほどになります。
弥生時代は日本の国内は小国がたくさんあり、その中の1国の
奴国が後漢の洪武帝に使者を送り、それに対し金印を与え、
後漢の洪武帝は正式に奴国の王と認めたと、
中国の書物、後漢書の東夷伝にあります。
江戸時代の天明四年(1784年)にこの金印と思われるモノが出土し、
現在も偽物か本物か論議が続いています。
本物と思いたいですねぇ。
この様に中国と日本の関係性から、日本は中国を認識してはいましたが
その向こうにあるインドは認識していませんでした。

中国への仏教伝来は紀元1世紀の頃と言われていましたが、
最近の研究ではもう少し後の時代、5世紀の文書に3世紀頃に仏教についての記述があるので、3世紀頃ではないかと言われています。

中国への仏教伝来ですが、紀元1世紀頃、シルクロード経由で
西方の周辺国の人々が中国の東方にやって来て、
商売を始めましたが、インドから直接やって来るというより、
西方の国から東方の国へと、バトンリレーするように
物資が先に行き来していました。
後漢の時代(140年~160年頃)になり、国情が安定していたのもあり、
仏像や仏画が次々伝来し、中国の土着の宗教と混在し、影響を与え合い、
仏像や仏画が信仰の対象となっていったと思われます。

この後漢の時代、北インドのクシャナ朝が中央アジアまで勢力を広げ、
盛んにシルクロードで交易をおこない、
それに伴いインド方面の仏教僧侶が当時の中国(後漢)の首都の
洛陽にまで行けるようになりました。
この時、サンスクリット語の経典、部派仏教の経典や大乗仏典は
中国に伝来し、仏像や仏画を補完するように、広まっていきました。

歴史上はじめて、中国人がインドに出かけたのは4世紀頃の僧侶である
「法顕」と言う人が最初で、西安市長安から4~6人の僧侶と共に
タクラマカン砂漠の西域南道を通り、6年もかけて、中インドまで到達し、
「マハーサンギーティカ(摩訶僧祇律)」や
「アビダルマ・サムッチャヤ(雑阿毘曇心論)」や
その後、スリランカにまで渡り、
「ディーガ・アーマダ(長阿含経)」などを手に入れ、
海路で中国に戻ろうとしましたが、
中国に帰り着いたのは法顕ただ一人でした。

次が6世紀頃の僧侶である「陳褘」と言う名の僧侶ですが、
日本で知られている名前は「三蔵法師」とか「玄奘三蔵」ですが、
実を言うと「玄奘」と言う名は死後につけられた戒名です。
唐王朝(630年)の頃、陳褘は朝廷に出国を求めたのですが
許可されなかった為、密出国を試み、河西回廊を通り、
天山回廊と言う難所を通り、やっとの思いで、
インドビハール州ナーランダ県にあるナーランダ僧院に到達し
「ビジュニャプティ・マートラター(唯識)」を学び、
忙しい合間をぬって、各地の仏跡を回ったりしました。
その後、西域南道を通り中国の長安に、657部の経典を持ち帰りました。

当時の中国でさえ、一番古いと認識される経典、
スッタニパータさえ中国語に翻訳されていません。
大乗仏教が先に中国に伝来した為、小乗(上座部)仏典はわかり難く、
中国の人々が受け入れるには、ハードルが高かったのかもしれません。
かなり後になり「南伝大蔵経」の一部にある
「義足経」が中国語翻訳されました。

日本人が当時の仏典に多く用いられたサンスクリット語を
翻訳する術がなかったというのも理由の一つだと思います。
また、中国と同様に、先に大乗仏教が伝来したので、
原始仏教である上座部(小乗)仏教が広まらなかったと言うのもあり、
その代わり、実践としての宗教が密教として日本には受け入れられました。

ざっと、中国にインドの仏教が伝わった流れを書きましたが、
日本の仏教がインド仏教(原始仏教)ではなく、中国仏教の流れから
大乗仏教が日本に先に伝わり、日本では上座部(小乗)仏教が
流行らなかった理由と思えるのは、
仏像、仏画が信仰の対象として先に中国で広まり、それを補完する形で
大乗仏教の経典が中国語に翻訳され、広まり、
上座部(小乗)仏教の代わりに、密教や禅宗が広まった為と思います。

この様にサンスクリット語と漢訳と日本語訳の間には
大きな隔たりがあるので原始仏教が日本に広まらなかったし、
ブッタの言葉が日本には正しく伝わらかったように思います。

次の記事では、具体的な経をもって、
各言語における違いを考察してみたいと思います。

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