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あおい書店 ~司書からアドバイスを受けられる個人書店〜
地域ライター部CHIMORI 浅野 直彦
名取市内唯一の個人書店は図書館と二人三脚
あおい書店は宮城県名取市内に唯一残る個人書店です。
店主の伊藤さんは司書の資格を持ち、以前は名取市図書館に勤めていたのですが、15年前から先代に頼まれて働き始め、2022年4月に3代目の店主となりました。
本は、店頭で直接販売するだけでなく、市内の図書館、学校、病院、美容院などへの配達も多いです。図書館に本を納品する際は、図書館側から発注のあった本の他に、本の取次店から図書館分として届いた新刊を持っていき、蔵書にする本を司書に選んでもらう「見計(みはか)らい」という制度で納品します。その選定から漏れてしまう本もあるのですが、そのような本を取次店に返本せずそのまま書店の店頭に置くことがあります。
結果、あおい書店で扱っている本は、よく書店で見かけるような売れ筋の本の他に、興味のある人には響く、図書館には置いていない本もあるという特徴的な品揃えとなっています。
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学校図書館に司書がいるということ
名取市は学校図書館教育に非常に力を入れています。公立小中学校全てに司書が配置されていること、これは全国的にも珍しいそうです。
司書の仕事は多岐にわたりますが、特に学校図書館司書の仕事で重要なのは子どもへの本の紹介です。
今、本を読む時間を確保している学校が多いです。そのときに読む本ですが、子どもは特に何も言わずに本を読むように促すと、やはりあまり本を知らないからか、決まった種類や作者といった、自分が知っている本しか手に取らないことが多いそうです。
そんなときに、どんな本が好きか、興味のあることはどんなことかを司書に聞いてもらえれば、今まで読んだことがない作者の本や、同じ事柄でも別の視点から書かれている本などを紹介してもらえます。
司書が興味の幅を広げる本を紹介してくれることが、読書の楽しさを知り、世界を広げる手助けとなっています。学校に納品する本では、そのような本のリクエストが多いそうです。
本屋は本の専門家
また、あおい書店には、自分で本をまだ選べない年齢の子ども向けの本を探しに来店する親御さんがいます。
近年出版される子ども向けの本は、アイディアを凝らした新しい本が多く出版されています。しかし、小さいお子さんを持つ親御さんは忙しく、自分で事前に読んでから、子どもに本を選んであげる時間はありません。結局選ぶのは、親自身が子ども時代に読んでいた本になってしまうことも多いそうです。
もちろん昔から有る本もいいもの、面白いものがたくさんあります。でも、そればかりだとやがて子どもが「その本はもう読んだ」となってしまい、本を読むことの興味を失ってしまうこともあります。
そんなとき、伊藤さんは子どもの興味があるかを聞いて、さらに先に進める本を紹介してくれます。
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他にも、あおい書店には夏休みの自由研究の資料として本を探しに来る学生もいますが、漠然とした好奇心から、実際の研究資料として活用できる本を探すのは大変です。そこでも話を聞きつつ、該当する本を一緒に探したりもします。
本の海の水先案内人として
伊藤さんは、図書館に勤めていたころも、今の店頭でも、お客さんから何かを知りたいという依頼を受けた時、それぞれが答えを見つけるヒントになる本を紹介してくれます。
「答えは自分で見つける。私はそのお手伝い」と伊藤さんはいいます。
司書は本の海を渡るための水先案内人と言われます。実際、海を渡るのは本を読む自分の力です。
自分の興味関心を店主の伊藤さんに相談すると、司書だった経験を活かし、同じようにそれぞれに合わせた本の紹介もしてもらえます。
それは、今まで自分が知らなかった新しい本や、一生付き合うことができる本に出会うことになるかもしれません。
(この記事は名取市公式FaceBookに書いた記事の加筆版です)