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【学生活動レポート】ルーマニアで見た「多文化共生社会」

こんにちは、地球市民学科3年のM.I.です。
私のルーマニアでの学びを紹介します。

 はじめの 4 日間は、ルーマニアの歴史を知るためのツアーがありました。クルージュ県内をバスで 移動し、ルーマニアにおける差別について学びました。現在のルーマニアには、クルージュをはじ め、旧ハンガリー王国だった地域があり、そこに「ルーマニア国籍のハンガリー人」も居住していま す。ハンガリー人は、ルーマニア人からあまりよく思われていない場合があることを、現地の方々か ら教わりました。

また、ルーマニアなどの東欧には「ロマ族」が居住しています。彼らは「ジプシー」と呼ばれていた 時代が長く、現在でも差別的な意味合いで用いられます。彼らが差別される理由は、彼らの多くが、 社会的地位が低いため、物乞いやスリなどの窃盗を犯すからです。私自身も、滞在中に物乞いを され、驚きました。私がこのように感情を動かされてしまったのも、一種の差別だと感じます。 このような差別が起こる理由は、背景に文化的規範・道徳的規範が存在し、あくまで大衆はそれ に則っているということが、目に見えてわかりました。文化的規範とは、例えば、私を含めた大多数 が青い服を着ていたところに、赤い服の人が一人、来たとします。私はその「赤い服の人」を見て、 「変な人だ」と感じます。これを、私たちは「文化的規範」と呼びます。

やがて、私が居住する国において、「赤い服」=「マナー違反」だという規則ができたとします。同 時に「赤い服の人」とそれ以外の「青い服を着た私たち」は、道徳的な差異となり、「道徳的規範」が 「異なっている」という認識を、私たちはお互いにすることになるのです。これは、宗教や人種、ある いは「価値観」の違いにも置き換えられます。差別はこのように、身近なところから生まれていると感 じました。

次に、私が参加した宗教学会は、キリスト教ユニテリアン派が大部分を占めており、アメリカや欧 州諸国から出席した人々は、大部分がユニテリアンでした。日本からは立正佼成会(仏教)と金光教 (神道)の方々が、インドからヒンドゥー教の方々、その他諸国からイスラム教徒の方々が出席されて いました。私は今回、松井ケティ先生に帯同して、IARF(=International Association for Religious Freedom)非会員として参加しました。同じ宗教・宗派でも、多様な考え方があると感じました。

本学会の会場は、「キリスト教ユニテリアン派」が運営する学校でした。そこは、ルーマニアでは 珍しい「ユニテリアン派のハンガリー人のための学校」であり、ハンガリー語が教授言語だそうです。 このように、多数派の人々と少数派の人々が共生することこそが、本当の多文化共生であると痛感 しました。

日本でも、最近では多くの外国人が流入しています。彼らと意思疎通を図るため、必要なツール は英語です。欧州諸国では特に、英語が広く親しまれています。しかし、EU 加盟国には 2020 年に イギリスが抜けたため、英語を第1言語とする国はありません。実際、ルーマニアもルーマニア国家 としては、ルーマニア語が第1言語です。クルージュ県の場合ですと、第1言語がハンガリー語の人 が多くいます。そのため、道路標識がルーマニア語とハンガリー語の併記でした。日本でも、近年 では日英併記をはじめ、特に都市部では中国語と韓国語の併記も見られます。日本とルーマニア の異なった点といえば、ルーマニアでは併記することを法律で定められているところです。私はこれ を、多文化共生の第一歩であると考えています。

以上のことから、私は自分のテーマである「日本在住の外国人に対する日本語教育」を行うため には、外国人と日本人の文化的差異を理解することから始めなければならないと感じました。それ が宗教的なものに繋がっていることもあると、今回のプロジェクトで学びました。引き続き、自分のテ ーマについて研究を進めつつ、根幹にある「差別」の緩和に何が必要であるか、より深めていきた いです。(地球市民学科 3年 M.I.)