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気心知れた友達と

先日、中学の水泳部の友達数人と飲みに行った。場所は地元の小さなお好み焼き屋さん。仕事で川崎を離れた友達もいるけれど、それでも7人集まった。皆、まだ実家を出ていない。

前回集まったのは去年の暮だった。つい最近会ったばかりのような気がするけれど、あれからもう1年経とうとしている事実に僕は怖くなる。気付いたらもうコートが必要な季節だ。

今日のメンバーには数年ぶりに会う友達もいた。その友達は営業で全国を飛び回っており、今回川崎に戻ってきたから集まろうという話になった。数年ぶりに会った彼は、少し瘦せたように見えたけど、お喋りなところは変わってなくて久しぶりを感じさせないほど輪の中心となって話していた。

風の噂で彼には9歳年上の彼女がいると聞いていた。その事について聞いてみると、「来年には結婚すると思う」と彼は口にした。付き合っているのは会社の先輩だそうだ。9歳年上の女性とどうやって!?僕たちは出会いから交際に至るまでの話を根掘り葉掘り聞く。

彼も交際するかどうかは相当悩んだらしい。年上の女性だから向こうは当然結婚も視野に考える。彼女の大切な時間を中途半端な気持ちで奪ってはいけない。そう考えた時に彼は自分の気持ちに気付いたという。

「この人とは結婚するかもしれないって思ったんだよね。波長が合うんだよ、ピタッとハマっちゃった感じ」

そう思えたから結婚する覚悟で交際を始めた。さすが我らの水泳部の部長らしい。やっぱりしっかりした性格なんだな。出てきたお好み焼きだって全部彼が丁寧に焼いてくれる(お前も手伝え)。

実は同じ席には去年に10歳年上の女性と結婚した男もいた。うちの部活は年上の女性がモテるみたいだ。2人で子供についてはどう考えているかの話題もしていて、僕は完全に蚊帳の外。女性は出産に年齢的な問題が付き纏うからそこは考えるみたい。でも2人の結論は「出来たら嬉しいけど、出来なくても幸せならいいかな」という話で落ち着いていた。僕からしてみれば、結婚したいと思える女性に出逢えたことが素晴らしく羨ましいよ。

ていうか、同級生がめっちゃ大人になっている。未だ中学生みたいな恋愛をして大号泣している僕が恥ずかしくなる。どこで差が付いたんですか??(僕はお得意の失恋話を披露するしかない)

最近彼女が出来たという友達もいた。その友達にとって人生初の彼女だった。会社の後輩でアイドルのライブに誘ったら、「行く」と言ってくれてそこから仲良くなったらしい。写真を見せて貰ったが、可愛らしい女性だった。

「オタクだって付き合う前にバレているのはいいよね」
「うん、その子もアイドル好きだから良かったよ」
「その子絶対大事にしなよ」
「マジで大事にしたいと思ってる」

友達が真剣な顔で言うもんだから、誰も冷やかす奴なんていなくてみんなで「おめでとう!」と拍手して乾杯した。来年から川崎を出て彼女の近くで一人暮らしを始めるそうだ。

いいな、いいな。みんな楽しそうで羨ましいな。喉からいいないいなお化けが出てきそうだ。僕はみんなの話に口角を上げながら聞いていた。

久々に楽しい飲み会だった。会社の飲み会とは違う。誰にも気を遣う必要はない。気心知れた友達と話すのはやっぱり居心地がいいな。時間を忘れて飲んでしまった。

恋愛の話ばっか書いたけど、未だに中学の時に誰が1番泳ぐのが速かったかなんて話をしているからおかしくなる。もう10年以上前のことなのに、よくその熱量で話せるよなってくらい盛り上がる。リレーの順番とか本当はもうどうだっていいよ。

2軒目の居酒屋に行っても、地元だから終電時間を気にしないまま飲めた。12時まで散々飲んで最後はみんなで歩いて帰る。見慣れたいつもの帰り道、途中からひとりずつ別れていく。部活の帰り道みたい。

その時は「また明日」が合言葉だったけど、大人になった今は「また飲みに行こう」に変わっていた。それぞれ仕事もあって、頻繫に会えるわけではないけれど、歩いて会えるくらいの距離にみんな住んでいる。僕らは全然近い範囲で生活をしているんだ。

いずれみんなは川崎を出てしまうのかな。ひとりの帰り道でふと考えてしまう。でも、僕らはどこに住んでいたって定期的に集まっている気がした。中学の同級生とは切っても切れない、それくらいの付き合いになっている。

さて、次の飲み会では僕も彼女を作って、愛とは何ぞやとカッコよく語るとするか。(無理そう)



中学の頃の水泳部は面白い話が沢山あるので、いつか書きたいです。それでは、また!


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