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玉城ティナが青春の全てだった

10月8日、会社のトイレでスマホを開くと玉城ティナが結婚を発表していた。「マジか...」急な結婚発表に思わずそう呟いてしまう。何を隠そう、僕は高校生の頃からずっとティナちゃんが好きだった。

初めてティナちゃんを知ったのは高校生の頃、姉が可愛いモデルがいると雑誌を見せてきた。ボブカットの端正な顔立ちの女の子。僕は「ふーん」と興味のない素振りをしていたけど、一瞬にして恋に落ちた。アニメの世界からそのまま飛び出したような美少女に見えた。

そこから僕は姉よりも熱心にティナちゃんを応援するようになる。彼女が出ている雑誌や写真集を集めたり、スマホの壁紙はいつもティナちゃんにしていた。それまで芸能人に熱狂的にハマったことがなかった僕は、「好きな芸能人は?」という質問にいつも困っていたが、答えが見つかった。乃木坂が流行っていた学生時代、僕はずっと玉城ティナが好きだと公言し続けた。

周りの同級生から呆れられるほど、どうやったらティナちゃんに出逢えるか本気で考えていた。街でばったり会ったりして運命的な出会いをしないかなと無謀なことばかり考えていた。

高校を卒業しても変わらずティナちゃんが好きだった。僕は大学受験に失敗し、19歳の時に浪人することになる。午前中は予備校の授業を受けて、午後は自習室で勉強をする日々。予備校には学校みたいに沢山人がいたけれど、友達なんか作ったら受験に落ちそうな気がして、僕は誰とも話さずに独りで勉強していた。

間違いなく人生で1番辛かった時期だった。その時の心の支えがティナちゃんだった。彼女が何気なく上げるSNSの写真を見ては心の疲れを癒していた。先日、スマホのアルバムを整理したら2017年に自分の写真は1枚も無くてティナちゃんの写真ばかりだった。

予備校にはそういう孤独な人間が結構いて、自習室にアイドルの写真を机に立て掛けて勉強している男もいた。

男って単純な生き物だよな。好きな人から「頑張れ」と言われたら(正しくは言われてると思い込んだら)頑張れるものなのだ。

受験勉強にヘトヘトに疲れていた10月頃、ティナちゃんの二十歳の誕生日に合わせて写真集のお渡しイベントがあった。受験生が行ってもいいものか迷ったが、勉強に疲れていた僕は勇気を出してそのイベントに足を運んだ。家族には自習室で勉強すると嘘を付いて出掛けたと思う。芸能人のイベントに参加するのはこの時初めてだった。

2017年10月7日、渋谷のヴィレッジヴァンガード。周りのファンはティナちゃんの髪型をマネした可愛いらしい女の子ばかりでやっぱり僕は浮いていた。彼女が壇上に上がった時、僕は初めて生で見る玉城ティナに息を飲んだ。写真で見たまま、いやそれ以上に美しかった。顔のサイズがりんごみたいに小さくて、やっぱりアニメの世界から飛び出したような人だと思った。

自分の順番が来て、目の前にいるティナちゃんに僕は固まってしまった。カメラマンが複数人いて、ファンと話している様子もずっと撮影されていたから余計に頭が真っ白になった。僕はずっとティナちゃんの手を握ったまま、言葉がでてこなかった。

その時の記憶を頭から消したいけれど、ガチガチのロボットみたいな喋り方で、今受験生であること、あなたが支えになっていることを伝えた気がする。ティナちゃんからは「受験頑張ってね」と言ってもらえた。その笑顔が眩しすぎて、真っ直ぐ目を見れなかった。

お渡し会が終わった後、自己嫌悪に苛まれた。自分がキモすぎて「玉城ティナの人生に僕は関わってはいけない」と思い、それ以降の直接話せるイベントには足を運ぶのを辞めてしまった。だから唯一話せたのはその1回だけだ。

でも、その1回で充分だった。僕はあの時に会えた思い出を胸に暗黒浪人生活も乗り越えられたし、大学生になることが出来た。

僕はティナちゃんの何が好きなんだろう。顔が圧倒的に可愛いのはあるけれど、ティナちゃんのストイックな生き方が好きだった。

彼女は中学校の帰り道、スカウトされて15歳でひとりで沖縄から東京に出てくる。親元を離れる不安だってあるはずなのに、それでも上京出来るのは確固たる気持ちがないと出来ない。

上京後はviviの専属モデルをやっていたが、21歳の時に女優業に専念するため突然卒業する。他のモデルと比べても早すぎる卒業だった。次のステージに潔く踏み出せる思い切りの良さはやっぱり彼女がスターの所以だろう。

僕の人生のバイブルと思うほど好きな漫画「惡の華」の実写映画に出演すると決まった時は嬉しかった。「僕のためのキャスティングか?」とそんなことないのに本気で錯覚した。先生に向かって「うっせぇクソムシが!」と言う癖の強い女の子仲村さんをティナちゃんが演じた。

映画を観た時、ティナちゃんが仲村さんにしか見えなかった。仲村さんが実際そこにいて、泣いたり笑ったりしていたことに感動した。漫画の実写化には批判的な僕でも惡の華の実写映画はオススメだ。惡の華を見て、ティナちゃんは女優でも成功するんだろうなと確信した。

玉城ティナが僕の青春の全てだった。ティナちゃんが結婚したことで僕の青春もひとつ終わったような気がした。彼女を好きになって10年以上、もうそんな長い年月が経っている。高校生だったティナちゃんはもう27歳、僕も26歳。ティナちゃんのファンだけで繋がってるXアカウントを久しぶりに開いたらお祝いの声が溢れていた。「今年私も結婚しました」と呟いてる人もいてなんか嬉しかった。

「結婚しても変わらず好きなんでしょ?」

母にそう言われたけど、答えはもちろんイエスだ。これからもラジオは聞くし、イベントがあれば足を運ぶよ。結婚したのもそこまでショックではないんだ、僕も大人になったので高校生の時みたいに本気で付き合えるなんて思っていない。ティナちゃんと僕の住む世界は180度違いすぎる。

これからも陰ながら応援させて頂きます。ティナちゃんが幸せを願うのがたまぴよだろう。結婚おめでとうございます。




今年の5月に参加したラジオの公開収録のイベント。どっかに僕がいます。



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