見出し画像

造幣局とアーティストデート

新卒入社した大手金融機関を適応障害で4ヶ月間休職した。だから、私はインターネットに実名を載せた。(実名を知りたい方はこちらのリンク)個人情報を開示したことで私は小学校時代のお友達"まさかず君"と久しぶりに会うことになった。
そこで我々は"アート"というものはすごく身近に存在することを確認した。

あなたの膝の上に座るアーティスト

たとえば、マクドナルドでお気に入りのバーガーとシェイクをただ楽しむのではなく、少し視線を変えて壁に目を向けてみよう。すると日本McDonald社からのメッセージが届けられていることに気づくだろう。

マクドナルドの壁に落書きされた文章

I want to be light and frolicsome.
I want to be improbable beautiful and afraid of nothing,
as though I had wings
(軽やかに心おどるようになりたい
本当とは思えないほど美しく何も恐れなくなりたい
まるで翼を持ったかのように)

 引用元(Jazz rock bar MILES Blog)

まさかず君は改札近くの旅行代理店店頭のパンフレットを眺めながら、Apple社製のBluetoothイヤフォンでoasisを聴いていた。ひどく痩せ細った体はきっと過酷な労働に耐えていた証拠に違いない。しかしその笑顔には昔の面影が残っている。

貴乃花親方部屋の若手力士

我々は駅の近くにあるピッツァ屋さんへ向かった。粗食を心がけている筆者だが、この日はアサリのスパゲッティの大きいサイズのものを食べた。一時は摂食障害であったのにも関わらず、未だに自身が大食漢であるのと自認している。調子に乗って付け合わせのフォカッチャもおかわりしてしまったため、胃袋がはち切れそうであった。終盤は貴乃花親方部屋の若手力士のように半泣きになりながらスパゲッティを音を立てながら啜った。

小さな違いに気づくこと

友人は広告代理店のようなところに勤めているのかよくわからないが、シャッター街に貼られたポスターのフォントや半角の空白など細かいところによく気づいていた。
私が大学生の頃に、ゆる言語学ラジオでお馴染みの衒学者、堀元見氏と共に彦根城へ訪れた経験を思い出した。
堀元氏も、彦根城の説明書きが書かれた看板を見るやいないや、
『どうしてここで明朝体使っているのだよ』
『いや、ここはゴシック体でしょ』
などと鮮やかなツッコミを入れられていた。大学一年生だった私は、堀元氏の持つ独特な視点とユーモアセンスに感動して憧れた。
まさかず君も堀元氏と同様、社会の荒波に揉まれる内に、数多くあるフォントの正式名称を覚えていったのだな。我々は少しずつ学び成長しているのだ。

シニア自然大学校

我々は意味もなく街を歩く。晴れた冬の日ほど散歩に適した日はない。勢い良く食事をとったので、血糖値が鰻登りしている。少し眠たくなりながらも、温かい日差しの中を進む。歩きながら、ビルのテナントに入っているお気に入りの会社名を探すという訓練を行った。会社の並びで打順を組んで、それぞれの会社の特徴を空想するなどして楽しんだ。時間という財産をふんだんに使った贅沢な遊びだ。

まさかず君は8番打者•シニア自然大学校を指名

造幣局、侵入

フラフラと歩いていると造幣局にたどり着く。日本のお金を作っている場所だ。最初は何している場所かよくわからなかったが、侵入を試みた。
エントランスは厳重な面持ちではあったが、受付に話を聞くと信じられないほどスムーズに入館することができた。
敷地はすごく広く、お土産物売り場とミュージアムが併設されていた。平日は製造工場の見学もできるそうだ。
お土産売り場に信じられないほどピカピカな6つ硬貨が販売されていた。普段使っている100円玉、磨けばここまで光を放つのか。こんなにも身近に美しいものがあったのか。であるとすれば、我々労働戦士は何を探し続けているのだろうか。

ミュージアムには古代中国で使われていた"刀幣"の展示が行われていた。
なんだ、これは。
刀幣とは、刀の形をしたお金である。1番最初に刀のお金作ろうぜって言ったやつは何を考えていたんだ。レジの中に刀幣が入っていると、お釣り渡すときに指を切りそうだ。そこから得体の知れない感染症になって一族が滅亡してしまうかもしれないだろう。

ミュージアムに展示される刀幣
箱に入ったコインの合計金額を計算するも不正解

研磨されるアーティスト思考

我々は生まれ持ってアーティストだ。消費者ではない。だから、道を歩くだけで楽しいのだ。日々表情を変え続ける街へ出かけよう。どうでもいい話し合いをしよう。そして表現するのだ。そして祝おう。新しい表現の誕生を盛大に祝うのだ。部屋の明かりを消して、ライターの火を蝋燭につける。そして高らかに歌おう。ハッピーバースデー。ハッピーだ。
合言葉はHappy•Clever•Super-Star!だ。この言葉はプリントアウトして、ロケットペンダントの中にしまって無くさないように首からかけて置いて欲しい。ろうそくに息を吹きかけると、あの独特な焼けた匂いが部屋一面に満たされる。
ハッピー•クレバー•スーパースター 
休日は終わる。明日からまた希望を持って働こう。アーティストと労働者、二足の草鞋を履きこなすのだ。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集