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ジャンプ、グラブル、旭ポンズー"ファンベース"について思うことー

 私が高校生のころ、「バクマン。」という漫画が流行っていた。漫画家を志望する2人の物語なのだが、少年ジャンプやその編集部のリアルさが特徴の一つでもあった。「漫画だけでなく、実際の編集部も見てみたい-」そう思った私は、思い切って集英社に電話をかけた。訪問の許可をもらえたので、当日行ってみると、通されたのは小さなブース。どうやら、持ち込みの電話と勘違いされたようだった。やってきた編集者に対して見学希望の旨を伝えると、少し戸惑いながらも承諾してくれた(本来は、見学は受け付けていないらしい)。そして、編集部を実際に見せてもらえた。漫画に関する質問も、受けてくれた。自分の目で見た小さいブースから編集部の様子まで、自分にとっては夢のようだった時間は、10年たった今でも、強く心に残っていて、時折思い出される。そして、私は、14歳から読み始めた「少年ジャンプ」を、今も毎週欠かさず読んでいる。当時は紙で都度購入、今は電子版で定期購読、という違いはあるけれど。

 私が大学生のころ、「グランブルーファンタジー」(通称グラブル)というソーシャルゲームにハマった。最初は弟からオススメされて、「絵と音楽がすごいからやってみたほうがいい」とのことで、何気なく始めたのがきっかけだった。確かに、キャラクターなどの絵はどれもすごく綺麗だし、ボスキャラとのバトルシーンで流れる音楽はどれも素敵だった。「敵を倒す→アイテムを集める→強くなる→さらに強い敵を倒す」というループに見事にハマり、強い武器の蒐集欲も掻き立てられて、日常的にプレイするようになった。しかし、社会時になりたての頃ぐらいのタイミングで、急に冷めてしまった。ゲーム内でアイテムを集め続けることに、急に虚しさを覚えてしまったのだ。そんななか、神戸に住み始めてすぐのころ、実家に帰省したタイミングで、たまたまS席に当選したグラブルのコンサートに参加した。そこで聴いた生の演奏はとても素晴らしく、いたく感動した。同時に、この会場にいる人々がみな騎空士(グラブルのプレイヤーのことだ)なのだなと思うと、何か、一体感のようなものを感じて、どこか嬉しくなったことを覚えている。共通のテーマで、繋がれている-そんな気がしたのかもしれない。ただ、コンサートを終えてすぐ、私はグラブルをやめてしまった。感動したし満足したけれど、ゲームを続けるモチベーションにはならなかったのかもしれない。そこから3年近くの時が経ち、今年の3月ごろ、ガチャピンとムックが「最大100連無料!」と叫んでいる、グラブルのCMを見た。その時、ふっとこのコンサートのことを思い出した。あの美しい音楽が、あの秀麗なイラストが、コンサートでの一体感が、よみがえってきた。同時に思い出したのだ。私がグラブルをやめた時、宝晶石が9万個弱残っていたことを!(これはいいかえると、天井するまでガチャを回して、好きなキャラを手に入れることができるということだ)気づけば、モバゲーのアカウントを探してグラブルにログインしていた。以来、再び私は騎空士になった。今も日課をこなし、SSR武器や強化アイテムを求めてボスバトル(と、たまにイベント)を周回する日々だ。(騎空士の方はぜひよろしくお願いします。連絡いただけたらID教えます!)。

 私が神戸に住み始めてから、「旭ポンズ」という商品に出会った。それまではずっとミツカンのポンズを使っていたのだが、「なんにでも合うし、なんなら飲めるくらいのおいしさ」という口コミを聞いて手に取った。試してみるとこれが素晴らしく美味しい。確かに、飲めるのだ。それ以来私は、旭ポンズを買い続けている。しゃぶしゃぶにも、焼き魚にも、幅広く使えて美味しいのが魅力だ。

 最近読んだ『ファンベースなひとたち』という本には、「ファンベース」を実践している10の企業について、実際に行ったことや苦労話などが掲載されていた。「自分の仕事にはどうやってこの考え方を活かせるのだろうか」ということを考えるわけだが、同時に、「自分も何かのファンなのだろうか?」ということも考えた。その結果、紹介した3つが浮かんできたのだ。

 ここでふと、疑問に思う。私は、少年ジャンプもグラブルも旭ポンズも、愛用しているし、機会があれば人に進めるだろう。少年ジャンプ編集部にも、グラブルのコンサートにも、勇み足で出かけていくだろう。だが、旭ポンズの工場見学を案内されても、特に興味を示さない。何が違いを生むのだろうか?もちろん、私が、少年ジャンプやグラブルのファンであるほど、旭ポンズのファンではない、というだけの話である可能性もある。だが、商品の特性によっても、ファンが喜ぶコンテンツは違うのではないだろうか?むろん、最終的には「ケースバイケース」ではあるのだけれど、何か法則のようなものを見出すことはできないだろうか?

 まず一つ考えられるのは、人々は「もっと深くルーツを知りたい」のか、「もっと深くコンテンツそのものを楽しみたい」のか、という軸だ。その商品ができる過程に興味があるのか、商品の魅力をもっともっと楽しみたいのか。もう一つ軸としてあるとすれば、「ユーザーとつながりたい」のか「コンテンツとつながりたい」のか、という軸だろうか?同じ一体感でも、「同じものを好きな人とつながっている」感覚と、「自分が好きなコンテンツと同化している」感覚は異なるように思う。

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 もちろん、ファンが何を求めているのかは商品によって異なるので、明確な答えは商品ごとに異なる。だが、どんなサービスを提供していくのか?を考えるうえで、大まかにでもタイプわけすれば、施策がやりやすくなるのかもしれない。

 もっとも、いわゆる「ファンベース」施策を考えるにあたって注意しなければいけないことがいくつかある。ここでは3つ挙げたい。

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