見出し画像

「カスハラ」 のない旅へ・・・

 この12月から旅館業法が改定され、ホテルや旅館における「カスハラ」(カスタマー・ハラスメント)への厳格なる対処が認めるようになる。

 旅慣れしていない、ホテル利用のモラルさえ知らない人たちは、自分たちの個人的欲求や感情を抑えきれずに、「金銭を払う方が偉い!」と、旅先のホテルや旅館に難癖をつける人は多い。

 成人になれば、「法の不知」は許されるものではない。今回の旅館業法の改正により、宿泊施設はカスタマーの暴言や不当なクレームに対して、宿泊拒否を行う権限を得る訳だが、当然の措置であると言える。

 周囲の宿泊施設関係者の話によると、コロナ禍でもクーポン利用者など、割引額が多いカスタマーほど、一つ一つ難癖をつけて、宿泊施設の従業員に上から目線で暴言を吐くような迷惑な人もいたと言う。

 それは、カスタマーの民度や自覚の問題であり、旅先の宿泊施設や食事処などでの利用モラルの存在自体を知らぬ人たちだからこそ、「お客様は神様」を鵜呑みにして、言いたい放題が罷り通ると思い込んでいる。

 家族旅行中に親たちが子供たちの前で不適切な言葉を発したり、宿泊施設のスタッフが混乱する場面を目にすれば、子供たちも成長して同様の愚行を取る可能性があり、これは悪循環を生み出すことになる。

 高級ホテル宿泊券が当たり、一人1泊10万円近くもする部屋に入ると、あたかも自分自身がセレブになった気分となり、ルームサービスやその他施設利用において、横柄な振る舞いをする人も少なくはない。

 逆に、有名高級ホテルや百貨店の高級ブランド店のテナントのアルバイトでさえも、そのブランド以上のレベルが自分の立ち位置であると勘違いし、サービス精神を忘れ、横着な対応をする人もいる。

 自らの身の丈や立ち位置を客観的に見ることができない人ほど、高飛車な態度を取るのである。それは稚拙であり、世間知らずであり、実に恥ずかしい話となる。

 旅館業法改正が宿泊施設側のこれまでの苦悩を解消するきっかけとなると期待されるが、もし宿泊施設自体に企業モラルがなければ、「カスハラ」の逆バージョンである、「ホテハラ(ホテル・ハラスメント)」が発生する可能性も無きにしも非ず。

 何はともあれ、カスタマーのホテルや旅館における利用モラルは絶対必要条件であり、そこで初めて受け皿となる宿とカスタマーの良好な信頼関係が構築されることになる。

 日頃から、コンビニのトイレを荒く使ったり、レストランで大声で話したり笑ったりするような品性に欠ける人は、今回の旅館業法改定により、「モラル欠如」の烙印を押され、「カスハラ」として廃絶される可能性は高い。

 最近、インバウンドの観光客が急増しており、以前から、日本の一部の人たちが「外国人の訪問者は行儀が悪く、騒ぎ立てて迷惑だ!」と感じていた。しかしながら、注意すべきは、日本人にもそれ以上に行儀の悪い人がいる訳で、一方的に外国人を批判するものではない。

 以上、「カスハラ」について話をしてきたが、最終的には、お互いに思い遣りや気配りさえあれば、トラブルを避けることが可能ということだ。

 従って、ホテルや旅館は、旅館業法の変更内容をわかりやすく説明する「ホテル利用のガイドブック」を制作し、カスタマーの意識向上に努めて頂ければと思うばかり。

いいなと思ったら応援しよう!

西田親生@D&L
サポート、心より感謝申し上げます。これからも精進しますので、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。