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過剰なおもてなしのジレンマ

 昨年末から「カスハラ」が法令化され、ホテルや飲食店などで無理難題を言ったり、恫喝したり、迷惑行為に至る心無い客への締め付けが厳しくなった。当然のことである。

 ところが、インバウンドの状態を検証すると、日本ならではの「おもてなし」というものが、サービス過多の状態を生み出し、心無い外国人観光客にとっては格好のターゲットとされる悪しき環境を作り出していることに気づかねばならい。

 如何にインバウンドでお金が一時的に落ちようとも、過剰サービスが常態化すると、本来の「おもてなし」とは無関係に、とんでもない事件や事故に繋がる可能性が高くなってしまう。

 ノーと言わないホテルでは、それなりに高額な宿泊費、レストランの料理代金、その他施設利用料などを含めると、筆者のような庶民が気軽に利用できるものではない。よって、それなりに高額料金を支払うからこそ、また、高額料金を支払う人で難癖つける人は少ないからこそ、ノーと言わない路線にて接遇が可能となる訳だ。 

 リッツの有名な合言葉に「We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen」である。ホテリエも顧客も「Ladies and Gentlemen」であるからこそ成り立つ構造である。

 インバウンドにおいて他国から訪れる人たちは、多種多様な人たちが多く、「Ladies and Gentlemen」ばかりでない。勿論、国内の観光客にしても、割引クーポンで国内宿泊施設に訪れる日本人で問題児は存在する。

 よって、無理難題を持ち込んだり、難癖つけて問題を引き起こしたり、他の罪なきお客に対して迷惑を堂々とやってのける人たちに対してまでも、「ノーと言わないホテル」の精神を踏襲する必要はなく、過度なる接遇は不要である。

 「おもてなし」と言葉で表現するのは簡単だが、その日本独特な「おもてなし」の精神が、インバウンドで来日する旅行客にどれだけ浸透しているのか、理解されているのかは定かではない。理解している人もいるが、それにつけこむ輩も否定できない。

 日本人として、お金を落としてもらうためには、土下座までしてご機嫌伺うような人種であると思われるのは、絶対に受けいられない。何故に、一方的に謝罪が必要なのか、理解に苦しむ。

 ある米国人と会話を交わした時に、滅多に謝罪をする必要はないと言っていたことを思い出す。自分スタンダードを貫き通すことに、何故、謝罪が必要なのかということだ。そこに「おもてなし」というお人好し的な感覚にて接遇すると、歯車が狂ってしまうのである。

 最後に、無料食堂施設などを運営しているところに外国人が訪れ、宗教的な理由にて食べることができない食材を指摘し、それに対応したと称賛する人もいるが、これもまた、過度なる接遇の姿勢であり、是とし難い。米国やフランスのように、自国至上主義でいいじゃないかと思うばかり。

 今の時代、さもしい人たちがが増えてきた世界において、「お人好し外交」も、過度なる「おもてなし」も、全く不要に思えてならない。冷静沈着に、堂々と自国第一主義を唱え、唯一無二なる日本文化をしっかりと継承することが重要でありはしないか。


▼ChatGPT-4oによる感想

このエッセイは、日本のおもてなし文化に関して、インバウンド観光客との相互作用を通じて見える課題に焦点を当てています。特に、国際的なコンテキストでのサービス提供の困難さや、過剰なサービスが如何にして逆効果になる可能性があるかを詳細に掘り下げています。

1. 「カスハラ」法令化の背景と影響

著者は「カスハラ」(顧客ハラスメント)が法令化された背景を説明しています。これは、サービス業において不当な要求や迷惑行為を行う顧客に対する対策として導入されました。しかし、著者はこれが一方で、おもてなしの文化が過剰なサービスを生むきっかけとなっていると指摘します。これにより、不適切な利用をされる「悪しき環境」が生まれていると議論しています。

2. 過剰なサービスのジレンマ

著者は、過剰なおもてなしが潜在的に引き起こす問題を指摘しています。たとえば、インバウンド観光客に過剰に対応することが、その期待値を不当に高め、結果的にさらに過大な要求を招くことになると説明しています。このサイクルはサービス業の持続可能性にも悪影響を及ぼします。

3. ノーと言えない文化の問題点

著者は、高額な料金を支払う顧客層を中心に「ノーと言わない」サービスが常態化している現状を批判します。これは一見顧客を尊重する姿勢のように見えますが、実際にはサービス提供者の権利や健康を損なうことがあり、結果としてサービスの質自体が低下することも指摘されます。

4. 国際的な視点と自国文化の尊重

最終的に、著者は日本のおもてなしを外国人観光客に適切に伝え、理解させることの重要性を説いています。また、他国の文化を見習って、適度な国家主義や自国文化の保護を訴えています。これは、全てのサービス業において、国内外の顧客に公平で、文化的背景を尊重した対応が求められることを意味しています。

総合感想

このエッセイは、現代日本が直面している文化的、経済的課題に対する深い洞察を提供しています。特にサービス業における倫理的なジレンマと国際化の影響を鮮明に浮かび上がらせており、これからの日本の観光政策やサービス業のあり方について、重要な示唆を与えています。読者に対して、単に文化的な伝統を受け入れるのではなく、それをどのように適切に守り、進化させるかを考える機会を提供しています。

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西田親生@D&L
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