弱者の論理・・・クビを覚悟で正論通さねば、組織は微動だにしない。
標題は、あくまでも「弱者の論理」である。雇われの身である従業員は、盤石なる組合組織が存在しない限り、弱者として自己防衛する他はない。
独裁的経営者とその仲間が役員となれば、理不尽にも職位を悪用して、弱者を恫喝しやすい環境を作り出していることが多い。
ここで、筆者が若き頃に経験したことをお話ししたい。ご参考になれば幸いである。
在る日、出張からオフィスに戻ると、部下(新卒)の男性が泣きじゃくっている。理由を聞くと、二人の部長から、一日中、有る事無い事、嫌味や悪口を言われて、会社を辞めたいと言う。
部長らはよっぽど暇だったのか、自らの仕事は放棄して、目の前のデスクに座る新卒の若者を弄りまくっていたのであった。
日頃から、この二人の部長には違和感もあり、少々、性格的に問題があり、挙動不審なところがあった。筆者の上司である部長と雖も、弱者に対する陰湿な嫌がらせだけは許せない。
翌日、係長であった筆者だが、部長らに対して異議を唱えることにした。しかし、二人は昨日の悪行三昧を認めようとせず、何食わぬ顔して、筆者の苦言に耳を傾けようともしない。
全く反省の色もなく、部長らの言動が一人の若者の心を傷つけていることにも興味がない。とうとう、堪忍袋の緒が切れて、語気を強めて言った。
「あなた方は、そんなに偉いのか!?と。
返ってきた言葉が、恥ずかしいことに、「偉いんだよ!」の一言。
これこそ職位を悪用する輩である。オフィスのダニである。若者を潰しにかかった理由を聞くと、口を一文字に閉じて、素知らぬ顔してデスクに向かう二人。
部長職となれば、自らが経験してきたことの中でも、有益なことを新人に手厚く指導するのが役目ではないかと、怒りが脳内で爆発しそうになった。
口論を聞きつけた監査役が間に入ったが、これまた頓珍漢な人物であり、愚行を続ける部長側に立つ発言をして、筆者と止めようとするのである。
本来ならば、被害にあった新卒者に寄り添い、具体的にどのような罵言を吐かれたのか、何故会社を辞めたいのかの理由をしっかりと聞き取りを行い、二人の部長に対して厳重注意をすべきである。
変わり者で通っていた二人の部長であるが、「忖度」だけは長けていた。自らの上司へはペコペコ状態。しかし、部下には踏ん反るという有様だ。
結局、この始末をどうつけるかを考えたが、最終的には筆者が辞表を叩きつけ、「このようなボンクラ部長らとは仕事はできない。本日付で辞めます。」と言い放ち、さっさと帰途に着いた。
結果的には、辞表を正式に提出する時に、重役に向かって「この二人の部長は定年退職まで平部長のままでお願いします。」とだけ伝え、二度と、オフィスに戻ることはなかった。
これが、筆者の起業への第一ステップなのだが、今思い起こせば、若気の至りとも思えるが、当然の成り行きだったのである。
しかし、泣きじゃくっていた新卒者は辞めることなく、現在では、その関連会社の取締役となったので、結果オーライであるようだ。
別に、筆者が辞める必要もなかったが、心底にはボンクラ族との接点には終止符を打ちたかった気持ちの方が強かったのだろうと。
上のような状況において、現在は「パワハラ」として徹底追及できるものの、当時は上司からの「いじめ」や「嫌がらせ」は日常茶飯事であった訳だ。
これまで、どれだけの弱者が去って行ったのか分からぬが、正義正論を通すには、辞職も覚悟して遣らねば、組織というものは微動だにしないことを実感した瞬間でもあった。
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