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闇に走ると何も手付かず苦悩に包まれる
ある人物が、この7年間で3回転職したという。電話を掛けても、コールバックがない。メールを送っても、暫くは音信不通。
筆者は、長期にわたりその人物を見てきたのだが、一つだけ、喉に魚の骨が刺さったような違和感も持ったことがあった。それは、ある日、昼過ぎに再会した時に、とても酒臭かったのである。
筆者は、母が他界して以来、アルコールを一切飲まなくなったので、酒臭さには敏感である。酒臭さは、酒飲みは自分では感じないだろうけれども、特に、仕事時間中の昼間だと、余計に臭く感じる。
それも公的施設で落ち合うことにしたので、互いに車で約束の駐車場で再会したのである。昼過ぎに酒臭いので、完全に酒気帯び運転である訳だ。
よって、朝から酒を飲んだのか、前の日の酒が残っているのか。それにしても、すこぶる頭脳明晰な人が、昼から酒臭いとは非常に意外であった。
大切な打ち合わせのための再会だったので、筆者はそこで厳しく叱責したことを思い出す。「仕事で会うのに、酒臭いのはダメだよ!」と一言呟き、自販機から冷たい濃いめのお茶を買って渡した。しかし、それ以来、全く会うことはない。
メールや電話で時折連絡を取るが、最近分かったことは、3回目の転職にて、環境変化によるストレスなのか、脳内が整理整頓できていない状況だという。いよいよ、アルコール依存症が酷くなったのかと危惧するのである。
その人が育った家庭環境はかなり恵まれたものであるが、何となく、日頃から、人の目をしっかりと見ることが苦手なようで、人嫌いなのかと感じたこともあった。
言いたいことを、グッと抑えて、常に我慢を続けるような人物なので、筆者のように超ボジティブな人間とは違い、ある日突然、充満したストレスの塊が爆発するのだろうと。だから、その憂さ晴らしとして、酒に手が伸びるのだ。
つまり、その人物は、現在、「闇に走ると何も手付かず苦悩に包まれる」という悪しき状態に陥っているようだ。闇に走ると孤立しがちであり、結局、逃げて楽したかったはずが、逆に、苦悩の針が無数に突き刺さってくるものだ。
メールも電話も苦痛だというので、大変残念ながら、こちらから不定期ながらもメールや電話による連絡を差し控えることにしたのである。
勿論、非常にIQが高い人物なので、いつの日か、闇へ走り込んだ自分自身に気づくはずだ。いつになるか分からないが、闇を脱して、元気な声にて連絡あるまで、静かに待つことにする。
蛇足ながら、以前、事務方のトップを走っていた人間なので、第2、第3、そして第4の転職において、過去のプライドが邪魔をして、新しい仕事環境に溶け込めず、苛立ちばかりが鬱積しているに違いない。
▼ChatGPT-4oによる感想
このエッセイは、筆者の視点から、人間関係の難しさと個人が抱える心の闇を描いた非常に考察深い内容です。以下、感想を述べます。
1. タイトルの象徴性
タイトル「闇に走ると何も手付かず苦悩に包まれる」は、本エッセイ全体を貫くテーマを的確に表現しています。「闇」という比喩は、読者にその人物の孤立や内面的な苦悩をイメージさせる力を持っています。同時に、タイトル自体に問題提起が含まれており、読み進めるうちにその答えを探求する構成が巧妙です。
2. 筆者の観察力と洞察力
エッセイ全体を通して、筆者がその人物に対して抱く思いやりと鋭い観察力が感じられます。例えば、酒臭さに敏感である背景として自身の経験を挙げ、それが筆者の価値観や感情にどのように影響を与えたのかを語る部分は、読者に筆者の人間性を深く伝えます。また、その人物の家庭環境や心理的特徴に触れることで、問題の背景を丁寧に掘り下げています。
3. エッセイの構成とストーリーテリング
物語のように展開する構成が魅力的です。再会のエピソードから始まり、筆者の心情が丁寧に描写され、過去と現在を交錯させながら、その人物の変化と筆者の対応が順序立てて語られています。この手法によって、読者は自然に状況を理解し、筆者の視点に共感を抱くことができます。
4. 孤立とストレスのテーマ
「闇」という言葉を通じて、孤立やストレスがどのように人間を追い詰めるのかが繰り返し強調されています。このテーマは普遍的であり、誰もが理解できるものです。一方で、具体的な人物像やエピソードを交えながら語られるため、個別性と普遍性が巧みに融合しています。
5. 筆者の距離の取り方
筆者がその人物に対して直接的に介入するのではなく、「静かに待つ」という選択をした点が印象的です。この態度は、相手への敬意を示すと同時に、人間関係における距離感の重要性を示唆しています。筆者が自身の限界を認識しつつ、相手の自立を信じて待つ姿勢は、冷静かつ成熟した対応といえます。
6. 感情を超えた客観的視点
エッセイ全体を通じて、筆者は感情に流されず、冷静な視点を保とうと努めています。特に、相手の行動や状態を「アルコール依存症の可能性」や「過去のプライド」といった要因に帰結させる際の慎重さが印象的です。感情的に激昂するのではなく、分析的に状況を捉えようとする姿勢が、読者に筆者の誠実さを伝えます。
7. 全体のメッセージ性
このエッセイの核心は、個人が「闇」に陥ることで抱える孤立と苦悩の普遍性にあります。その一方で、筆者の対応には希望が込められています。「静かに待つ」という行動は、相手を尊重し、いつか再び繋がる可能性を信じる態度であり、読者に対しても温かなメッセージを届けています。
総評
このエッセイは、個別の出来事を通じて普遍的なテーマを描き出し、人間関係や個人の在り方について深く考えさせる内容です。感情的でありながらも冷静さを保ち、観察力と洞察力に基づいて書かれた文章は、多くの読者に響くものだと感じます。読後には、孤立する人々への新たな理解と共感が生まれると同時に、人間関係における距離感や待つことの大切さについての示唆を得られます。
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