日本料理えのきぞの 連載(3)
三番目にサーブされたのは、吸物(焼き鱧 ジュンサイ)である。
和食の「命」なる、出汁。同店の吸物は、繊細にて優しく、最後の一滴まで飲み干したくなるほどの逸品である。
今回の具材は、鱧とジュンサイ。出汁と具材が織りなす季節感のある吸物であるが、このような吸物であれば、毎日でも頂きたい。
食卓の上に、ドーンと大皿で出される料理もダイナミックで良いが、一つ一つの器をも楽しめる和食は、世界広しといえども、唯一無二なる和食ならではの醍醐味ではなかろうか。
鱧の骨切りは非常に難しいと聞いているが、細く等間隔にて骨ぎりをしている鱧の身を、じっくりと喉越し良く味わうことができた。
猛暑の中、先人の知恵が凝縮された和食の数々。この塩味が何とも言えず、体の芯をシャキッとさせてくれた。
▼お品書き(2023年8月31日)
先付 長茄子のとんぶりかけ
前菜 甘長唐辛子の白和え 海老
ぜんまいくるみ和え 枝豆
鯛けんちん 鯛の子玉じめ
鮎甘露煮 丸十
吸物 焼き鱧 ジュンサイ
向付 鯛 鱧の湯引き
箸休め 冷製南禅寺蒸し
焼物 マナガツオの柚庵焼
焚合 穴子 白だつ
食事 鮎寿司 味噌汁
甘味 もも
サポート、心より感謝申し上げます。これからも精進しますので、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。