父が亡くなった話<2>
思い起こせば、二週間ほど前。
父が弱ってきているような話を、次妹のWがしていた。
母が亡くなったときに、世間的には仏間に当たる部屋に安置したので、それを思い出したらしいWは、
「万一のために」
と、そこに置きっぱなしだった大きなタンスを二つ、処分することを思いついた。(このタンスにもいろいろエピソードがあるのだけど今は割愛)
結果として、
ゴミ屋敷清掃などを行っている業者に依頼したところ、
普通なら予約を取って数日待ちのひきとりが、たまたま翌日空きがあるから行きますよと、二つ揃って割とお安い金額で引き取りに来てくれたそうだ。
行政に頼んでも似たような金額のはずなので、お得でしかも早かった。
一方でわたしは、数日前。
伸ばし伸ばしにしていた、トイレの温水洗浄便座の交換を思い立ち、一気に完了させていた。
これが、中途半端なまま実家に飛んでいたら、滞在中も家のことが気になって落ち着かなかったかもしれないし。
流れるように話が進むタイミングってあるものです。
そして今これを、葬儀社の会館にある控え室で書いております。
この会館のこの控え室、母の時もお世話になっていますが、ホテル並みの宿泊設備がついているのです。ベッドルーム(二部屋)と和室、居間に当たる部屋のソファベッドも合わせれば、10人は使える大きくて綺麗な部屋を、利用初日は二人の妹が翌日にはわたしが加わり、
今はかけつけたT某と、四人で使っています。
ガスコンロがない以外は、普通の家のシステムキッチンのような台所がついていて、電子レンジもあるのでお弁当を持ち込んでも大丈夫。こんな緊急事態のさなか、実家で自炊も現実的ではないし、お風呂もエアコンも使い放題、当然のようにみんなでここで過ごしてくつろいでます。
体が非常事態モードに入っている
さて、24日の夕方。
問い合わせ窓口を巻き込んで連絡を取り合ったものの、
上長以外の人にはなるべく悟られないように、普通に仕事を終え、事故だけは起こさないように家に帰り、
いつもはお風呂からご飯、ちょっと遊んで就寝の流れになるのだけど、
日中の暑さで汗をかいたついでに、最低限の荷造りを済ませてから、お風呂と食事を終えたあたりでT某帰宅。
とりあえずわたしが先に飛び、葬儀社との打ち合わせで日程が確定してから、T某が追いかけてくると話がまとまったあたりで、既に深夜一時。
始発に飛び乗って東北新幹線に接続という流れになるので、とりあえずチケットを押さえようとしたところ、ここで大誤算。
えきねっとは、日付が変わるあたりから、朝の五時までメンテナンスで、チケット予約ができないのです。
日付が変わる前に一度ログインし、座席に余裕があるのは判っていたのですが、
行きの電車の中で予約ではタイトすぎます。これは、駅の発券機で買ってしまおう、そうすると五時になったタイミングで駅にいたい、
逆算すると、四時には起きていないといけない。
持って行くものを厳選し、買い込んでいたお茶やパンをスーツケースに割り振り、着ていく服を用意し、朝の過程をシミュレーションしながら、横になった時点で既に二時半。
眠れない。
眠いんだけど眠れない。
それでも頑張ってベッドの上で目をつむってじっとして、なんとか10分ほど眠って、
出勤のため……というより、暴れん坊将軍の再放送のために起きてきた夫に、洗濯や冷蔵庫の中身のことなどを一通り話して、夫より先に家を出ます。
いつもは事前にスーツケースの類いは送ってしまうのだけど、そんな暇はありません。
座席の前に置いても邪魔にならない、最悪荷物棚にも置ける大きさのスーツケースをガラガラ引きながら、予定通り駅につく。
実家は北東北。気温差を見越して薄手の長袖をはおっている上に、下がりきらない気温と朝日のせいで汗がじっとり。
わたし初めて、券売機で新幹線の予約をしました。狙っていた席は空いていました。
始発だというのに、駅はそれなりに人気があります。
スーツケースのほかに、ノートパソコンと飲み物類が入ったバックパックを背負っているので、立ったままではつらかったのだけど、途中で運良く席が空きました。
東京駅に近づくごとに、電車は早朝とは思えない大混雑に。さすが平日。
乗り換えまで20分ほど余裕はとってましたが、とても買い物の時間はなく、そのまま東北新幹線に乗り込みました。
続く。