![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/86939150/rectangle_large_type_2_1b270ea9cc88db65779f96f38114daea.png?width=1200)
映画「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」感想
一言で、魔法のエフェクトと動物達の表現は良いですが、脚本・人物描写・魔法設定が本当に残念でした。ある意味、これで終わりで良いと思います。
評価「E」
※以降はネタバレを含みますので、未視聴の方は閲覧注意です。また、かなり批判意見が多いので、絶賛の方は「閲覧注意」です。
主人公のニュート・スキャマンダーは、中国にて魔法動物「キリン」の出産に立ち会っていました。しかし、突然グリデンバルド一派が現れ、親キリンを殺害し、生まれた双子のキリンの片方を連れ去ります。残ったキリンを保護したニュートは、アルバス・ダンブルドアと合流します。
丁度その頃、魔法界では「魔法界の指導者の交代」の時期にあり、次期指導者を決める選挙が開かれていました。ゲラート・グリンデルバルドは、とある「野望」を叶えるために、これに立候補していました。
アルバスは、グリデンバルドとは、「不戦の契り」を交わしているために、前面で戦えません。そこで、彼は、ニュートにグリデンバルドの「野望」を阻止するために、魔法使いとノーマジ(魔法を持たない人間)の凸凹チーム、そして彼の「未来予知」能力を恐れ、敢えて「ノープラン」で挑むよう指示します。
ベルリン・ニューヨーク・ブータンと舞台を変え、グリデンバルドを追う彼らを待ち受ける運命とは如何に…
本作の監督は、前作に続いてデヴィッド・イェーツが、脚本は、J・K・ローリングとスティーブ・クローブスが共著で務めています。
1. 魔法のエフェクトと魔法動物達は良い。
まず、CGやVFXによる魔法のエフェクトはド派手で凄かったです。実際には「起こり得ない」ことを「あるように見せている」点は評価できます。
また、ニフラーら小動物の活躍は可愛かったです。この子たち飼いたいな〜と思えるくらい魅力的でした。やはり、動物がサイドキッカー(相棒)なのは良いですね。
2. 「ジェイクイ」の結末にはホッとした。
クイニーが無事に戻ってきて、ジェイコブと結ばれたのは良かったです。前作では「引き裂かれた」2人だったけど、ラストで結婚できて良かったですね。でも、これからが大変です。
ジェイコブは、作中で唯一「魔法を持たない」キャラなので、ある意味視聴者に一番「近い」存在です。そのため、魔法による出来事やルールに対し、疑問や突っこみを入れてくれます。彼は、「『特別な能力』が大事なのではなく、思い遣りの心や一歩踏み出す行動力が大切だと示してくれたキャラだった」と思います。ここは、「ミラベルと魔法だらけの家」のミラベルと重なりました。
3. スキャマンダー兄弟の「カニ歩き」はコミカルで面白かった。
テセウスが「投獄」された刑務所で、ニュートが逃亡を指示したときの行動はコミカルで面白かったです(笑)。動物に懐かれるニュートが小マンティコア(カニやサソリみたいな動物)を手懐け、巨大マンティコアから逃げるために、二人で狭い通路を「カニ歩き」しながら逃げました。
それにしてもあの刑務所、門番は一人しかいないんですかね。アズカバンと比較すると、随分ガバガバだなと思いました(笑) しかし、グリデンバルド一派も、テセウスを人質を取った割には、アッサリと逃げられたのには「?」でした。
※ここからはネガティブ意見になりますので、苦手な方はブラウザバックをお願いします。
4. 脚本がお粗末で、視聴者の理解度を「無視」している。
しかし、本作はとにかく物語に入り込めず、最後まで観るのがキツかったです。まるで、物語が「視聴者の理解度を無視して進行している」かのようでした。
正直、ローリング氏は脚本から手を引いた方が良いのではないかと思うくらいでした。最も本作は、彼女の「単独脚本」ではなく、「ハリー・ポッター」映画で脚本を務めたスティーブ・クローブスが共同脚本として参加してくれているものの、やはり彼女に「意見」するのは難しかったのでしょう。
日本でも海外でも、「売れると周囲が意見しづらくなったり、本人も聞く耳を持たなくなってしまう」ことはあるようです。結局、「餅は餅屋」で、作品は分業体制で制作したほうがよいのかもしれません。※これは、決して「ローリング氏のスタンスを否定」するものではありませんし、「監督や原作者が脚本を書いてはいけない」といった意見でもありません。
5. キャラや俳優の良さが引き出せていない。
また、本作はキャラも俳優もそれぞれの良さが引き出せていたとは言い難かったです。
ゲラート・グリンデルバルド役のマッツ・ミケルセンは、本作からの参加でした。前作からの急なキャスト変更に戸惑ったものの、どんな演技を見せてくれるのか楽しみでした。
しかし、実際は良くも悪くも「普通」で、そこまで目立ったインパクトはありませんでした。(別に、特別「駄目」でもないですが。)
恐らく、前作までのジョニー・デップの「強面」が印象的だったからだと思います。一方で、マッツ・ミケルセンでは「ジェントルマン」すぎて、グリデンバルドのチャームポイント(白すぎる肌・立った白髪型・オッドアイなど)が大して目立ってなかったです。
そして、残念なことに、他の俳優も目立って良いパフォーマンスは見られなかったです。
6. 全体的に画面が暗すぎて、何が起きているのかわからない。
そして、本作はカメラワークや照明の使い方も下手でした。全体的に画面が暗すぎるので、何が起きているのか本当にわからなかったです。
基本的には、夜・暗闇・曇の天気でのシチュエーションが多く、ダークな世界観を出そうとする工夫はされていますが、それにしても「暗すぎる」のです。例えば、ニュートが「キリン」の出産に立ち会ったのは夜でしたし、テセウスが収監された刑務所やダンブルドア家、クリーデンスとアルバス対決時に魔法で作り出した「仮想空間?」、とにかく「暗かった」です。その中を人がゴチャゴチャ動き回るので、今何が起こっているか理解できず、そのうち考えるのを諦めてしまう程でした。
7. 舞台が飛びすぎていて、今どこにいるか追いつかない。
さらに、本作はあらゆるキャラ達があちこちに飛びすぎて、短期間に舞台がコロコロ変わるので、「今どこで何が起きているのか」理解が追いつかなかったです。ベルリン?ニューヨーク?ブータン?電車の中?法務局?ダンブルドア家?ホグワーツの魔法学校?ブータンの城?と、あまりにも舞台が変わりすぎて、「ロードムービー」の意味を成していませんでした。
8. 白人系・有色人種系(アフリカ・ラテン・アジアなど)のポリコレ配慮もそこまで活かせてない。
本作も、最近の映画の「お約束」となっている「ポリコレ配慮」をしているものの、極めて記号的で、あまり活かされていませんでした。
キャストに白人系・有色人種系(アフリカ・ラテン・アジアなど)など、様々な民族を取り入れたり、舞台をヨーロッパ・アメリカ・アジアなど、あちこち取り入れていたりする割には、それらの「必然性」も感じませんでした。
しかも、最終決戦の場となったブータンが「舞台装置」の扱いのみで、ブータンへの文化のリスペクトが感じられなかったのは残念でした。※この辺は、「ジャングル・クルーズ」と同じだと思います。
それこそ、ブータンの魔法使いや秘術を出して、彼らに協力を頼めなかったのか?と疑問でした。作中の描写だと、主人公チームがいきなり選挙に乗り込んできた「侵入者」に見えてしまいます。
ここからは完全に主観ですが、もしかすると、当初は「中国」にする予定だったのかなと思います。しかし、現実的には様々な事情で「難しい」から「ブータン」になったのかもしれません。
9. 人物描写が下手、これじゃ全員「無能」に見える。
本作、とにかく人物描写が下手でした。これじゃ全員「無能」に見えてしまいます。
アルバスとニュートは、グリデンバルドの野望を阻止しようと、「即席」チームで挑みますが、彼に「未来予知」されることを恐れて、敢えて「ノープラン」で行動します。(この時点で、私は「?」となりました。)
しかし、「用心」して探りを入れる割には、背後から不意打ちされて、すぐに捕まるので、「無能」な人物達に見えてしまいました。
「ハリー・ポッター」は、主人公が子供でした。そのため、未熟さ故にやらかすことも多かったのですが、有能な大人達が彼らを守っていたため、そこは「安心感」がありました。しかし、残念ながら、本作の大人達からはそれは感じませんでした。
10. 魔法設定が「いい加減」だった。
本作では、魔法設定として、「未来予知」と「読心術」が描かれますが、それもとても「いい加減で一貫性が無い」ように思いました。
クリーデンス・クイニー・ユスフは、てっきりグリデンバルドに「洗脳」されていた?と思いきや、最終的には良い人になったり、グリデンバルド陣営に反旗を翻したり、自分達の好きなように動けていました。こういうことが起きると、悪い意味で「都合良く」思えてしまうのです。
スパイとして潜入したユスフは、「妹リタの記憶」を引き換えに、グリデンバルドに「忠誠」を誓うフリをしていました。それなら、グリデンバルド側がアルバス側に誰か「送り込んでいた」可能性は危惧しないのでしょうか?
また、もしグリデンバルドが「未来予知」できるなら、誰が「裏切る」ことがわからないのも意味不明です。
そして、「トランクケース作戦」についても、グリデンバルドが「本物のトランクケースを持つキャラの未来を予知すれば良くない?」とまで考えてしまいました。
11. クリーデンスの「正体」の種明かしも今一つ。
本作では、クリーデンスの「正体」が種明かしされますが、そのプロセスが今一つでした。前作のラストで本名が「アウレリウス・ダンブルドア」と判明しました。また、本作では、彼の側にダンブルドア家の象徴となる「不死鳥」が何度も出てきました。
結論から言うと、彼はアバーフォース・ダンブルドアと身元不明の女性との間に生まれた子供でした。(つまり、アルバスの甥) しかし、それも「説明」しかないため、視聴者に対する説得力に欠けていました。※個人的には、キャストの見た目・年齢差的を考慮すると、結構無理のある設定だなぁと思いました。
しかも、クリーデンス、前作では「ガッツリ闇堕ち」して「実は強そうな」オーラを出していたのに、本作では「死にかけるくらい弱ってしまった」のは何故でしょう?結局、「オブスキュラス」のせいということ?次回作で「ナレ死」や「事後報告」だったら、尻つぼみキャラになって悲しいです。※中の俳優(エズラ・ミラー)が問題を起こしてしまったので、上記の内容も有り得そうです。
個人的には、クリーデンス役のエズラ・ミラーの長髪がセブルス・スネイプみたいでした。ある意味、「オマージュ」でしょうか?※時間軸では、本作の方が「ハリー・ポッター」よりも前ですが。
この件があったから、アルバスはスネイプにクリーデンスを重ねていたのかもしれません。しかし、スネイプがアルバスの「死因」になっていることを思い出すと、本作のこのオチは「皮肉」です。
12.「魔法界の指導者の交代」という政治的テーマも唐突で理解が追いつかない。
本作では「魔法界の指導者の交代」という政治テーマを取り入れ、今までの作品との「差別化」を図っていました。しかし、このテーマが良かったかというと、厳しかったように思います。ファンタジーに政治の話は相性が悪く、「出来なくはない」けど、取り扱い注意で難しいテーマだったなぁと思いました。 また、公開時期より、現代の「状況」と比較してしまう人もいると思います。
しかし、そのための「キリン」争奪戦という、しょうもない展開にはガッカリしました。(本作のキリン(麒麟)は、首の長い動物ではなく、想像上の動物の方です。麒麟は、仁を重んじる存在で、優れた王が世を治めるときに出現すると言われています。)
それにしても、本当に指導者を「キリン」に決めさせたのには失笑しました。一体何のために「選挙」したのでしょうか?まぁ、そこはグリデンバルドとドイツ魔法省がズブズブで「出来レース」だったってことでしょうかね?
そういえば、最終的に次期指導者に選ばれたのは、ラテン系の魔女でしたが、3人いた候補者のうち、アジア系らしき魔法使いは一言も台詞がなく、いてもいなくてもいいようなキャラになっていて、気の毒でした。
13. 戦闘スタイルが、ワンパターンすぎて魅力を感じない。
前述より、「魔法のエフェクト」自体は良いものの、「杖を前に出して光と呪文を発生させる」戦闘スタイルが「ハリー・ポッター」から全く変わっていないので、全く魅力を感じませんでした。(正直、これを何度もやられると「ダサく」見えてしまいます。暴言失礼します。)
しかも、実際の撮影ではエフェクトは出ておらず(CG表現なので)、ただ杖を振り回しながら俳優達がクルクル回って叫ぶという極めて「シュール」な状況になっていると思うと、笑ってしまいました。
ここは、ブータンの魔法や秘術を出して、従来の魔法に対抗できる手段を出していたら、戦闘のバリエーションが広まったのでは?と思います。例えば、グリデンバルドもアルバスも知らなかった魔法や秘術があって、先に知ったほうが「突破口」を見出すとか…(漫画「鋼の錬金術師」でいう「錬金術」と「錬丹術」みたいな関係性で。)
14. 「不戦の契り」を交わしたのに、結局タイマン勝負するんかい!
前作より、アルバスとグリデンバルドは、「血の契り」により、不戦状態となっていました。だから、アルバスはニュート達にグリデンバルドを追わせたのです。しかし、ラストで結局タイマン勝負に持ち込んだのは、「?」でした。その理由は、作中にて、「攻撃と防御」の魔法なら戦えたと説明がありましたが、あまりにも唐突すぎる展開に「頭ポカン」になりました。それで戦えるなら、なぜ最初からやらないのか、意味不明でした。
15. 一部のキャラに関しては、「どこ行った?」状態になる。
一部のキャラに関しては、「どこ行った?」と思うほど、影が薄いorノータッチ状態となっていました。
本作、ティナはほぼ出てきません。終盤のみ登場しますが、目立った活躍はありませんでした。※2-3の間に、中の女優(キャサリン・ウォーターストン)が出産されていたために、こういう形での出演になったとか。
そういえば、ナギニの女性は全く登場しませんでしたし、キャラも彼女の存在には「ノータッチ」でした。一体、彼女はどこに行ったのでしょうか?
16. ゲラート・グリンデルバルドの「オチ」も意味不明。
結局、本作のラストでグリデンバルドは「消滅」しました。しかし、「ハリー・ポッター」より、「あの人」に殺害されることは確定なので、彼の行方については、「次回」に持ち越しですかね?ただ、こういう「引き延ばし」をやると、離れる視聴者もいそうです。次回作もいつ公開されるかわかりませんし。※個人的には、本作で「退場」でも良かったように思います。
正直、私は本作にてこのシリーズの「賞味期限切れ」を実感しました。本当に、このシリーズにこんな評価はしたくなかったです。当然良い点もありました。しかし、それ以上に悪い点が届いてしまったのです…
今後の続編2作は要らないと思います。あっても観ないかもしれません。
出典
・「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」公式サイトhttps://wwws.warnerbros.co.jp/fantasticbeasts/index.html
・「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」公式パンフレット
・ファンタビ|グリンデルバルドの最期は?ハリーポッター登場シーンを紹介 https://oota01.com/%E6%98%A0%E7%94%BB%E6%83%85%E5%A0%B1/gurinderu-saigo/#i