読書レビュー #4:辻村深月 『スロウハイツの神様』
知らない間に同居人が増えていた。
湿気がとても好きで、梅雨が一番居心地がいいらしい。
名前はPenicillium(ペニシリウム)...。
すみません、アオカビです。棚に生えました。
棚の中身全部出して掃除したから、家が初期化されていく...。
梅雨明けはありがたいけど、どうしよう、この子たち...。
そんなこんなですが、辻村深月さんの『スロウハイツの神様』の読書レビューでも書こうと思います。
1. 作品紹介
講談社文庫、上下巻のちょっと長めのお話です。
現代版トキワ荘ともいうべきか、6人のクリエーターが住む「スロウハイツ」が舞台。
簡単な内容紹介や試し読みは以下のサイトにあります。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000205267
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000205268
2. 読書レビュー(ネタバレ注意)
前半は登場人物の説明がメイン。スロウスタートって感じです。
ここで飽きずに読み進めるといいことがあります。推理小説、というには語弊がありますが、前半でいくつか出てくる「日常の些細な謎」が後半で一気に解明されていきます。
さらっと読んでしまった一文が実はこういう意味だったのか…。もう一回読み返そう、と思える作品です。
個人的には、スロウハイツというお家の中のシーンが多いのが印象的です(タイトルにも入っているから当たり前か…?)。
個性豊かな登場人物を繋ぐのはクリエーターという肩書と「スロウハイツ」。最終的にはスロウハイツからみなさん旅立つわけですが、クリエーターとして止まってしまっていた足を一歩踏み出したことの象徴のようで、前向きな感じがいいなって思います。
あとでまとめて書こうと思うのですが、辻村深月さんの作品には他の書籍の人物もちょこっと登場しがちで、それがまたなんか嬉しい。
ちなみに今回は、『凍りのくじら』の主人公でした。
凍りのくじらの言い方を借りるなら、『スロウハイツの神様』は
sukoshi family(少し 家族)
のお話かなっと思います。
3. クリエーターが与える影響とその責任とは
偉そうな見出しですが...。
人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだーー
(https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000205267、内容紹介より)
小説やアニメ、映画など、創作物から人はいろんな影響を受けます。
自分が作り上げたものが他人に、どう影響するか。それに、クリエーターはどこまで責任を持つか。
ほぼ自分語りのnoter(?)なので、クリエーターとは程遠いのですが...。
私のnoteを見て「スキ」だと思う人がいる反面、アクションがないだけで「つまらん」とか「この考えはイヤ」とか、マイナスな感情を抱く人もきっといるんだな、とこの小説を読んで気づいて、
やっぱりここに綴る言葉には責任を持たなきゃなーと改めて感じました。
とはいえ、今後もゆるーく、ぬるく書くことしかできないんだけど。
あと、例えば事件が起きた時に、犯人の趣味とか嗜好まで言及することありますけど、それを拡大解釈する傾向には、気をつけなきゃなと思いました。
創作物からの影響は、人によって様々だし、正負の両面が必ず存在するはずですよね(あくまで違法な創作物以外という設定ですが...)。
事件の根本にあるものはなんなのか、みたいなところを短絡的に考えないように、情報に惑わされない力みたいなのを磨いていきたいなと思います。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?