冬の森 /GR3
落葉樹が多く植わった森の冬は明るい。
葉をすっかり落として丸坊主になった木々はスカスカのスケルトンを北風にさらして春の到来を待っている。
アカゲラが豪快に幹を穿ち、その木くずがぱらぱらとぼくの顔へと降ってきた。アカゲラはとても強くて、やがて鳥の巣が入りそうなくらいの大きな穴を開けてしまう。森を散歩していると、つい最近の穿孔痕をいくつもの木々で見つけることができる。
直径1メートル以上ある大きなスズメバチの巣が雨風にあって半壊していた。居住者不在のその空き家はついにばらばらになって土へと還る。そしてまた冬を乗り越えた女王を中心とした大家族が真夏に出現するのだ。何千何万というスズメバチたちが、この森の平和を守っている。
秋口からぼくたちの侵入を頑なに阻んできたアメリカセンダングサもいよいよその力を失うときがきた。冬の魔女は最後に大雪を降らせて抵抗したが、地軸の傾きを変えるほどの魔力は備わっていなかった。野の梅が咲いている。
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