生命力
時々植物を眺めていて思うのだが、
地球の真の支配者というのは植物ではないかということである。
動物は有毒な酸素を吸うことで敏捷さを手に入れたが、それゆえに短命である。
植物は難燃性の二酸化炭素を選んだことで、動物のようには動き回れない。
だけどそれは動物のせせこましい時間感覚で捉えるからであって、宇宙スケールで
考えれば、植物だって動き回っているのである。その上動物には不可能な年月を生きることができるのだ。
動物は植物を食って勝った気になっているが、その動物が死ねばこんどは植物が食う番である。動物はみんな植物に食われるのである。結局のところ、お互いさまなのだ。
そう考えると、焼いた骨を骨壺に入れておくのはよくないことのように思える。どうせ一生開けやしないのだ。後生大事に取っておくよりは土に還してやるのが正しいだろう。そう考えると、いよいよ墓などいらないと思うようになった。庭にまいて埋めてしまえばよい。
動物も植物もすべての生き物は皆他者の命を食べて生きている。養老先生は水田の稲を指して、あれが未来のキミだよと言ったそうである。食べたものが身体を作る。肥料をやりすぎた植物は軟弱に育つし、ジャンクフードを食べ続けた人間は病気になりやすい。生命力溢れる野菜を食べれば、自ずとその力が身体に宿るというわけだ。
しばらく使わないでいた赤玉ねぎを眺めながらそんなことを考えた。
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