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ヘビを奪い合う兄弟
15センチばかりの小さなヘビがいた。ヒバカリという名のヘビの幼体だという。
噛まれたら最後その日ばかりであの世に行ってしまうことから名付けられたが、実際は無毒のヘビである。しかしついてしまった名前は変えられないから今でもヒバカリと呼ばれているかわいそうなヘビである。
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もちろんヘビはそんなことは知ったことではない。それよりも子どもたちに見つかってしまったのが運の尽きだった。うちの子たちはヘビを怖がらない。怖がらないどころか、自分に持たせろと奪い合いが始まる始末である。さて初生ヘビの感想はどうだったのだろうか。ようやく弄ばれることから開放されたヒバカリは脱兎のごとく草陰へと消えていった。
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掘れば掘るだけじゃがいものようにごろごろとカブトムシの幼虫が出てくる。
あとはサナギになるだけという終齢幼虫である。息子は10匹以上両手のひらに乗せて記念撮影に講じている。妹とぼくも負けじとカブトムシの鏡餅とかいって写真を撮ってから丁寧に土に戻した。ちゃんと埋め戻さないとタヌキが掘って幼虫を食べてしまうらしい。食べるならまるごと食べればいいのに一口かじっておしまいにする。だからそこら中に欠損して干からびた幼虫のミイラがいくつも落ちていた。
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オタマジャクシなどもはや物の数ではない。ぼくは子供の頃散々捕って遊んだからもう見るだけでお腹いっぱいである。子どもたちは散々捕ってないので捕らないと気がすまないから捕る。ぼくはその写真を撮る。
子どもたちは昆虫だけでなく爬虫類も両生類も平気である。森に成っている実が食べられるとわかれば躊躇なく口にする。たくましいと言えばたくましい。
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