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そのマシンガンのようなドラミングに心打たれる。
久しぶりに息子と二人きりでバードウォッチングに出かけた。いつもの森である。
この森は高低差がけっこうあるため登っては下りてを繰り返すからいい運動にもなる。
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気温は低いが太陽はやさしく降り注いでいて暖かい。おまけに今日は風もないから森の中は快適だ。唯一気になるのは真っ黄色に染まった杉の木で、ぼくはマスクが手放せなかった。
ウグイスにメジロ、ヤマガラ、シジュウカラといったいつもの面々が出迎えてくれて、オマケにトラツグミまで姿を現した。トラツグミはヌエの異名を持つ。夜に鳴くその不気味な声が妖怪ヌエに相違ないと思われたことから呼ばれるようになったという。
地面でしきりに餌を探しているトラツグミに別れを告げて、ぼくらはまた坂道を登る。
するとドルルルルルルッとまるでマシンガンを連射したような音が頭上から聞こえ、見上げてみればアオゲラだった。息子もぼくも初めてみるアオゲラの姿に大興奮だ。大きなキツツキは木を穿つ力も強い。
二人で双眼鏡を交換しながらアオゲラが視界からいなくなるまで眺めていた。一生忘れない思い出とはこういうものをいうんだろう。
ぼくも息子も大満足だ。出発点に戻ってくるとエナガの群れが手が届きそうな高さまで下りてきてさらにぼくらを喜ばせた。黒とピンクのかわいいやつだ。巷では北海道のシマエナガが人気らしいが、ぼくは普通のエナガのほうが好きである。エナガは2番目に好きな鳥である。
息子は終始穏やかだった。妹がいないとこんなにも静かに過ごすことができるのだ。息子もたまには息抜きが必要である。
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