濃過ぎる陽光がまるで機関車で
もう何も感じなくなった
霊泉に光の束の浮き沈み
明滅で織り成すは彩り豊かな具材
感じなくなった
何もかも感じなくなった
高波はもう来ない
忘れ去られた結び目がほどけなくなって
心が先に老いていく
言葉だけがまだ若い
自由だったから不自由にもなれたのだと
夜の中心に烏を置いた
描き足すように置いた
梟なのは間違いです
謝罪動画で「いいね」を貰った
下着でうろうろしたいから
つまらないことはもう全部許す
そして感じなくなった
何も感じなくなった
海鳥の正体が出航の合図だったなんて
おかげで空はコバルトを隠してる
宇宙の暗さは余った絵の具を集めて溶いた
本当は寂しい液体
地表以外はみんな深淵で
すぐに衛星も寿命を迎え
つるつる顔の宇宙人、念力で移住を始める
念力はテレポーナンチャラとも呼ばれる
郵便局の窓口に晴れ間が渡り
中華料理屋にも晴れ間が残っている
誰に同情してるのかわからなくなって
感じなくなった
もうすっかり感じなくなった
昨日しかない星だったから
あんなに占い師が流行ったのだ
溶鉱炉に機関車は溶けて
私は先に麺だけ食べてしまった
それがいつもの習慣なのか
病気のせいではないと信じたい
枯れた霊泉に裸の鷲
明日の蛇が知らずに来てしまうのを
待っている
・・・・・・・・・・・・
お読みいただきありがとうございます。コバルトとは、もしかしたら空はこの色で呼ばれていたかもしれない、という色です。何でコバルトなのか方々で聞かれたので、ヒント。
ところで、
女性だけの詩誌La Vague(ラ・ヴァーグ)、寄せて返す波の企画に参加させていただきました。掲載詩に寄せての返詩を3編、掲載していただきました。ありがとうございます。
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読んでいただき、ありがとうございます。
ほとんどの詩の舞台は私が住んでる町、安曇野です。
普段作ってるお菓子と同じく、小さな気持ちを大切にしながら、ちょっとだけ美味しい気持ちになれる、そんな詩が書けたらなと思っています。