スペインかぜ 流行の予感
私には、7歳(小2)の娘と3歳(年少さん)の息子がいる。
娘はすっかり自我が芽生え、世の中の不条理(主に母に対する)に気づき始めてブツブツ言い返してくるようになって、私は思い通りにいかなくなった成長を、毎日嬉しく思ったり、イラついたりしている。
この間の連休に娘の宿題で「おうちの人のおてつだい」という宿題が出た。
新型コロナウイルスのせいで遅れていた授業は、急ピッチの突貫工事で進められ、少し前まで二日分かよ!?という量の宿題が毎日出ていたが、すっかり追いついた様子。
連絡ノートの宿題の箇所に おてつだい( 空白 )と記述があり、やった手伝いを自分で書いてくるという課題らしい。
連休のわりにはボリューム感のない宿題内容だな…と思ってたのだが、娘の様子は違っていた。
「おてつだい何しようかな・・・」思い出す度に呟いていた。
私はここぞとばかりに、「食器洗いとかー、 洗濯物とかー、 掃除機かけとかー、お風呂掃除は?? あっ トイレ掃除も!!」と私のやって欲しい手伝いを楽しそうに満面の笑みで提案してみた。
彼女は「いいね!!」とは言わず沈黙・・・。
ちっ・・・
口には出さなかったが、私は心の中でやさぐれた。
やはり小2にもなると思い通りにいかない。3歳の息子なら手のひらで転がせるのに…
そして、私が手伝いの宿題のことなんてすっかり忘れていた連休最終日、彼女は唐突にいった
「わたし晩御飯を作るねー♡」
「えっ!?」
私の苦手なことの一つが、「こどもと一緒に何かを作る事」
すぐに、口と手を出してしまう。しかもせっかちな私には、子供と一緒にゆっくりご飯を作るとかお菓子を作るという作業が苦手なのである。
お恥ずかしい話であるが、一緒に何か作るといえば、大根をおろしてもらう、白玉団子を丸める、ホットケーキを裏返してもらう、くらいしかお願いしない。
そーきたか・・・
めんどくさっと心で叫びながらも、こんなに考えて決めた宿題、応援したい!!
この思いは、しっかり心の奥にしまって鍵をかけて、娘に聞いた。
私「何を作りたいの??」
娘「これにしようとおもう♡」
娘は、先日おばあちゃんにもらった「こどもの初めてのお料理」という本を持ってきて、あるページを開けながらこう言った。
娘「これこれーーースペインかぜオムレツ!!!(≧∇≦)」
私「!?」
カラー写真と簡単なレシピが書いてある本の真ん中にはスペインの風が吹いていた。
私「あーーーーこれね!! スペイン風(ふう)オムレツ」
良かった、この感染症の流行っている時期の素敵なネーミングに母 ドッキリしちゃった。
その後、娘は私がほぼ手伝わないで、ピーマン、ジャガイモ、プチトマト、ソーセージを細かく切りフライパンにバターをしいて焼いて、ちゃんと盛り付けもして、キレイなオムレツを作った。味付けは塩のみ。
みんなで食卓を囲み、美味しいねーと言って食べた。
本当に美味しかった。
味付けも絶妙で、3歳の息子は「おかわりー」という程の出来だった。
娘も褒められてご満悦で、幸せな夕食だった。
宿題も終わったし、ジャガイモの火のとおりの確認以外、手伝わなくて自分でできたし、成長を感じた。
作った後の片付けもさせようかと思ったけど、今日は私がやろう♡
きっと我が家では、娘の作れるようになった「スペインかぜオムレツ」がしばらく流行るだろう。
それもいいな、なんて思ってかわいくて嬉しくなった。
その晩、彼女が寝静まった後に、明日の学校の準備に忘れ物が無いかをそっと確認してあげていて、連絡ノートを見ると、おてつだい( )の場所に
おてつだい ( せんたくたたみ )
と書かれていた。
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