あいまいな愛だがらの君は。
「かわいい」
多用される「かわいい」という言葉の魔力は
偉大で、ちょっと異常なのだろう。
そんなふうに、いつかのわたしは思った。
「かわいい」
その言葉を聞いてしまったら?
いちど言われたら?
ひとたび心が反応する。
一瞬ね。
外を歩いているとき。
どこからか金木犀の香りが
フワって
風に運ばれてきたの。
あまい香りに包まれて
あまい間に
甘噛みをするんだ。
その瞬間。
しあわせだと脳みそが反応する。
あいまいさは、あまい
金木犀の香りと似ていた。
きょうも君からのメッセージの封を開ける。
文章のはじめの部分は決まって
こう綴られている。
「きょうもかわいいの?」
おしまい。
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