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アイスよりマルエフの歳

“多摩川”という場所の名前にまだ魅力を感じてしまう。等しく”世田谷”や”下北”にまでもどこかこれから慣れ親しんでいきたい気持ちがある。

「エモい」ってなんだよ
この言葉がちょうど流行りだしたぐらいにそんな事を呟いてむやみやたらにこの言葉を使わないようにしていたのに結局私が求めているのはエモさじゃないか。


音楽や本や有名アパレルブランドが好きなのはいいけど、果たしてその人がそのもの自体を本当に愛しているのかが分かりずらい世の中になってしまっている。
本が本当に好きなの?それとも本を読んでる自分が好きなの?
そんなのどっちでもいいのになんでもかんでも答えを求めてしまうのもこの世代の悪い癖だ。


スパイスカレーを1から作るのを趣味にしているような男と、コーヒーを豆から挽いて淹れる男には要注意だぞ。なんて事をいつかのスナックの酒灼けお姉さんに言われた事があった。
「うわ〜それはないですね〜」なんて笑って流していたのに、スパイスカレーを1から作るのも、挽きたての豆のコーヒーを飲めるのも、めちゃくちゃ最高じゃんね?と、この歳になって思う。
そしてもはや自分が酒灼けしているお姉さんになっている事にも気づいた。

ベリーショートが似合う素敵で綺麗な女性になりたいと思うけど、わたしは所詮ミディアム止まりだ。
もう少し熟してからの方がいいのだろうか。
でも酒灼けしているベリーショートの綺麗なお姉さんには未だ会ったことがない事にも気づいた。


そういえば、コンビニの肉まんが物凄く小さくなったの、皆さん知っていましたか??
3年ぶりぐらいに急に肉まんが食べたくなって、寒い冬の帰り道、肉まんだけを求めてコンビニへ向かいました。
肉まんって、だいたいどこのコンビニも2種類ほどありますよね?普通のと、”プレミアム”がつくようなものとか黒豚まんとかいう変化球とか。
私は普通のを1つ頼んで謎にワクワクするあの白い包み紙をすぐに剥ぎ取ったんです。

そして異変に気付きました。
あれ、なにかがおかしい。
その可愛らしい白いフォルムの物体は私の手のひらにすっぽり収まるようにしてちょこんっとしていました。
思わず、かわいっとつぶやいてしまったほどです。でももう少し丸みを帯びたべっぴんさんとは訳が違う。
ハゲと坊主ぐらいに訳が違う。

おしゃれ坊主をしている若者が、薄毛のおじさんのハゲ頭と一緒にされたらどんな気分でしょう?
ラーメンを頼んだのに、汁だけラーメンの汁で中の麺は蕎麦だったらどうでしょう。

肉まんの大きさが変わった事を知らない友人から「一口ちょうだい」と言われてしまった場合肉まんの3割は無くなってしまう。
それはピノ1つちょうだいと言われた時と同じ衝撃をおぼえなければいけない事になるという事です。

なんて、勝手に少し騙された気分になって食べた肉まんの味はやっぱり普通に美味しかったです。
しかも驚くべき事に、小腹を満たすにはなんだかちょうど良いサイズでした。
くそ。私もついに大人になってしまったのか。
たしかに、今ピノを一個ちょうだいと言われてもそんなに嫌じゃ無い。

でもまだ雪見だいふくまでは許せません。
自分は今、そのくらいの大人ということですね。


お正月の頃くらいからビールばかりのんでいるせいで体重の変動が怖い。
元々痩せ体質とは程遠い私の身体はやけに素直なのでこまめに気にしなければいけないものの中々お正月モードから抜け出せていない。
気休めの緑色の糖質ゼロビールを飲んでも、それを2本飲んでしまったら意味がない。
そしてやっぱり飲んだ後に「くぅ〜」とつい出てしまうのはマルエフ白か、黒ラベルに限るなと実感させられる。

今日は1日休みだったので買い物ついでにスーパーで買った缶ビールを、出てすぐに「プシュ」とさせる。ちょうど16時ごろの事だったので学校終わりの制服を着た中学生の集団とすれ違う。
何も悪い事をしているわけでは無いのに、なぜかとても悪い事をしている気分になる。
男子中学生の集団の中の1人が「あの女の人ビール飲んでる」とつぶやくと集団がざわついていた。
なんだよ、いいじゃないか別に。と言わんばかりに目一杯に缶を傾かせオヤジみたいな顔をして飲み続ける。

君らはいつまでもそのままでいてくれ。
なんて無理に等しい事を思いながら気持ち良い夕方の日差しを浴びて勝ち誇った顔でまた歩き始めた。

今やもはや、ピノよりビール派だし、極小肉まんだって今の私にはちょうど良い。


大人になりきれていない子供でも無い大人の今が、もしかしたら1番楽しかったりするのかなあ、とふと思う。


どうかこの今という時間が1秒でも長く感じられるように日々を過ごせますように。

そして雪見だいふくを一個あげるという行為は、立派な大人になってからもやっぱり許してあげたく無い。

良い歳になっても、良い子供で居れますように。


そんな事を考えられる休日の優雅さに、私はこれからもこんなくだらない文字を想うだろう。

日本の皆さん、おつかれ生です。



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